▽ 惚れた、脅した
好いた女がうちはだった。
しかもマダラの妹だった。
「諦めるのか?」と自問自答してみるが諦めきれるわけない。
初めてあの女に出会った際に受けた衝撃は忘れない。
まるで雷に打たれたかのようなそれから俺はアイツを観察した。
印も組まず、予備動作もなしに俺の知らぬ術を放ったと勘違いしたからだ。
暫く奴を見ていると心臓が鷲掴まれるような感覚に、写輪眼の幻術か医療忍術かと驚く。隣で「違うわ」と否定する桃華やミトに「じゃあなんだ」と訊ねれば
「ズバリ、それは恋よ!」
恋よー恋よー恋よーよーォーォー……
木霊が脳内に駆け巡って数秒間は停止していた。
「恋?」
「恋!」
「誰が?」
「あんたに決まってるでしょう?」
馬鹿を見る様な目をされてイラッときたから拳骨を下ろす…微妙な顔をして隣にいた兄者に。頭を抱えて「ぬおおおお」と喚く兄者を余所に相手のことを考えてみた。
仕事も出来る。
頭も良い。少なくともマダラや兄者よりも。
顔もうちは一族の良い所取りをしたようで容姿だから悪いわけがない。
うちはというのが玉に瑕だが、忍界全体における地位としては上位である。
弱点もあるが俺よりも強い。
才色兼備、容姿端麗、完全無欠なチート。
「あれは本当に人間か?」
惚れた女だが時折同じ種族なのか疑ってしまう。
「仕事のできるくノ一ナンバーワンよ」
「フム、確かに非の打ち所がないしな」
「復活したのか兄者。大丈夫だ、アイツは性格が破たんしている。つり合いは取れているだろう」
「……」
お前本当に彼女に惚れているのかと言いたげな柱間の眼差しを無視して、扉間は考えた。
そしてそれから行動に移したのである。
02話
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