▽ イタチとシスイの場合
「会議を始める」
「お、今日の議題は何だ?」
「勿論……俺の妹が可愛過ぎて俺の心臓を止めそうだという問題について解決策を皆に考えてほしい」
「あ、解散〜お疲れ様〜」
「シスイ!!」
年下の親友兼職場の上司のその言葉に俺は『またかよ』と溜息をついた。
暗部に招集がかかった。それはいい、大蛇丸による傍迷惑な木の葉崩しの被害も落ち着いたとはいえまだまだ不安要素は残っている。
ここ数年で暗部の総隊長にまで登りつめたイタチが所謂ゲンドウポーズという体勢で重々しく口を開いたのが冒頭の科白。
暗部の会議室だというのに異様な雰囲気に包まれている。それもそのはず、室内の壁には重度のアイドルオタクも真っ青なレベルで張り巡らされた写真で元の壁の色が認識できない域まで達していた。
写真、写真、写真・・・それ以外にもオリジナルグッズとして写真の人物が描かれたクッションやぬいぐるみが本来人間が座るべきソファに威圧感を放ちながら鎮座している。もしどかしたりしたらイタチから天照をくらうと身を持って知っている暗部は無言で床に座った。
シスイはその部下たちのあまりに慣れきった態度に怒るどころか悲しくなった。
写真は明らかに盗撮のものもあるのに、部下たちはそれを見ても『あ、この辺前と違う。イタチ隊長模様替えしたのかな』とか言う始末。
犯罪者を取り締まる一族の倅が犯罪を犯していると訴えられても仕方ないレベルにも関わらず黙認されているのは他でもない、対象がイタチの妹だからだ。
大抵うちは一族は兄弟がいてもそれは同性同士であり、異性、つまり姉と弟もしくは兄と妹の組み合わせで生まれてくることはない。あのマダラの時が実に数百年振りだったというのにまだ50年ほどしか経過していないにも関わらずまた揃ってしまったのである。
伝説によるとその場合のシスコンは通常の(といってもあくまでうちは基準)シスコンやブラコンと比べることができないくらい酷い。実際それが間接的に災いしてマダラは九尾を操って襲撃してきたほどだ。
「(うちは一族のシスコン嘗めてたわ…)」
「ちゃんと茶と菓子も用意した」
「って、また団子かよ」
「安心しろ、経費で落とした」
「団子を経費で買うな!」
踏ん反り返って『嫌だ』と返す親友をぶん殴りたいと思うシスイだった。
prev /
next