合格説明会と主人公
え、なにこれ?
物凄い大きな声が聞こえて最近の寝不足が祟ってウトウトしていたけどハッと目が覚めた。
何かあったら起こしてくれるってカカシたち言ってたのに!
チラリとカカシの方を見やる。
「(ニコニコ)」
わぁ、凄くいい笑顔。
反対側、オビトの方を見やる。
「(スズスズスズスズスズスズ)」
うわぁ、うん、いつものオビトだ。
今度は周囲を見渡す。あ、これきっとオビトたちがまた何かやらかした。だって周りの視線が痛い。
「……お主ら…はぁ、」
すみません会長。その溜息はなんですか?手で額を抑えるネテロ会長になんとなく色々察した。
「ってかテメーらは何関係ねぇって顔してんだよ!」
ああん?!!と怒鳴るレオリオさんに思わずビクリと肩を揺らす。目敏くスズの反応を見ていたオビトたちの目がスッと細まったが、スズ自身はそれに気づかなかった。
「え、あの……」
「テメーらそのキルアの兄貴の仲間なんだろ?お前らが何かしたんじゃないのか?!!」
念を知らない彼らは怒りの矛先をスズ達に向けた。いい歳こいたおっさん二人と大人しい少女。異様な三人組の存在を忘れられるわけがない。
特に少女の実力ははっきりとはしていないが、男たちの方は自分たちよりかなり上……ヒソカたちに匹敵するだろうとクラピカも冷静に判断する。
レオリオ、クラピカをはじめ、試験官も含むスズ達を知っているヒソカ、イルミ、ハンゾウ、会長以外はキルアの件を含め好奇心からスズ達に注目した。ただし、レオリオ達は三人の中でも一番関わってはいけない人間を睨みつけてしまった。
「「「「(あ、やばい)」」」」
ユラリ、無言で立ち上がったオビトとカカシを見て三人を知る人間は彼らから離れる。
俯いているためオビトたちの表情は解らないが、解りたくもない。
もしレオリオが罵声を浴びせたのがカカシだったら……オビトはどうでもいいと放置するし、カカシ自身も「あ、そ」で軽く流すだろう。だが仲間にそんなこと言われて黙っているスズじゃない。そしてスズが口出しすれば二人も動くだろう。
ではもしもオビトだった場合……オビト本人は右から左、聞くはずがない。だって彼はスズを見ることで忙しいのだから。カカシは少し怒る、だって何だかんだいってミナト班が大好きな男だから。そしてスズがカカシの時と同じ反応をし、オビトも動く。
結局何をしても三人全員が敵意には敵意を返すのだが、男達の本気度が違う。
「神威で手足吹き飛ばしてから火炙りにしてやる」
「ま、落ち着きなよオビト。この間クロロが面白い能力手に入れてたからそれ使おーよ」
片や真顔でゴミ屑でも見る様な冷たい瞳。片や顔は嗤っているのに目は嗤ってない。
新米ハンター(非能力者)5名はその日、精孔が開きかけた。
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