おぼえていますか | ナノ
最終試験と主人公




四次試験も終わりました。え?早いって?
だってサバイバルっていっても忍者の十八番だし、三番目に島に入った私を自分の番で上陸した途端、<円>を使って駆けつけたオビトたちが始終引っ付いていたからね。特に話すことはないなぁ。


あ、でもゴン君は頑張ってました。オビトが「変態の気持ち悪いオーラでスズが穢れる」とかいってヒソカ排除に向かおうとした時に見ました。因みにオビトの科白はもう無視です。


三次試験で二人が来るまで私にガムをつけて逃がさなかったヒソカ曰く「君も美味しそうだ」で鳥肌が立った。イルミが同情してくれた。ゴールするなり私とヒソカの間にある念を神威で吹っ飛ばしたオビトの殺気にも「フ、フフ、フフフフフフフフフ」と身を震わせて歓喜していた。正直、気持ち悪かった。

それ以来カカシもオビトもいつも以上に私から離れない。

最終試験前に行われた面談でも面接室前で待機という徹底ぶり。
会長さんも顔が引き攣っていた。恥ずかしい。しかも、


「ゴホン。で、お主以外の八人の中で一番注目している…の、は………受験番号296番よ、何故ここに居るのじゃ?」
「………(オビト)」

トビの仮面みたいのが飾ってあるなぁと思っていたらほんとにトビ(オビト)でした。
首から下は神威空間に隠してるようです。

目をカァッ!と開いてる。怖い。
会長によって外につまみ出されたオビトの呼ぶ聲を無視して考えた。そうだなぁ、注目という意味ならやっぱり、

「405番です…ね……カカシ?」

ブルータス、お前もか。

「うっ、うう、スズが俺たち以外の人間に!」

「あ〜〜295番も退出してもらおうかのぉ(っていうかこいつらどうやって入ったんじゃ?)」


同じミナト班の一員として恥ずかしかった。




*


そして最終試験です。


「では第二戦・オビト=うちは VS スズ=かがち、開始!」

「参った」


うわぁ、開始コンマ数秒で合格しました。
勿論審判の確認とか周囲の野次はあった。だってこんなにあっさり合格するのに不満がないはずがない。
でもオビトが
「俺がスズを傷つけられるはずがない」との云った。真顔だった。

だけどあの帽子被った弓使いの人が云った「最後までそいつらに助けられて合格かよ」にはムカッときた。
私だってやればできるもん!カカシたちの過保護っぷりで一次試験から特に目立ったことはしてないけど!だからトーナメントでもチャンスは最低回数だけど!
あ、云ってて虚しくなってきた。

自然と目に涙が溜まる。

するとポン!と頭に手が乗せられた。

「?……おび、と?」

「俺はスズが凄いってこと知ってる」


顔を上げたら慈愛に満ちた穏やかな顔をした男の人がそこにいた。
こういう時オビトも大人になったんだなって思う。なんだか私ばっかり子どもで、悔しいし、そんな顔するなんてずるい。


そしてオビトの次の試合が始まる。

「オビト、頑張ってね!」

「…っ!!ああ!」

背を向けたオビトは一歩前に足を踏み出した。鼻から流れる血に対戦相手からの白い目もオビトには痛くもかゆくもない。審判は今日は鼻血が多いなとティッシュを手渡していた。

ところでその対戦相手とはカカシである。
殺気立つオビトとそれに対してやれやれと苦笑するカカシ。けど殺気がヤバい。目が笑ってない。周囲が二人の禍々しい悪質なオーラに触発しないかハラハラしてしまう。

数時間にも及ぶ死闘に本格的に誰かの精孔が開きかねなかったので満場一致で異例の二人引き分け、合格である。これに関しては誰も苦情を言わなかった。あのヒソカですら困惑しているほどだ。


兎にも角にもミナト先生、私たち三人とも今日、ハンターに成りました。




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