上のオビト視点
オビト視点
三次試験会場までの道のりは天国かなんかだと思った。
「俺今なら死んでもいいかも」
「ならさっさと死ねば?あ、でも俺に迷惑が掛からない所で死んでネ」
語尾にハートを付けたいい顔で云いやがったこの野郎。
だが俺の写輪眼は今スズの一挙手一投足を見逃さないために忙しい。バカカシを見る一瞬の時間すら惜しい。
「スズ可愛いスズ可愛いスズ可愛いスズ可愛い!!」
「オビトきもい、黙れ」
だってお前!見ろよアレ!あ、いややっぱ見るな。勿体無い。
オビトの視線の先にはクリーム色の毛布に包まって寒い寒いと丸まったスズ。ああ、可愛い。今すぐ抱きしめたいとオビトの目は語っていた。
いや待て、ちょっと待て。ここで暴走したらスズに引かれる嫌われる、それだけはダメだ。落ち着け俺。隣のカカシが莫迦でもみるような白い目で「うわぁ」って云ったが知らね。
両腕を広げてスズを呼んだ。
「お嬢さん、寒いならここ空いてますよ?」
「お邪魔します」
キ、キタァァアアアア!!!スズが!スズが俺の腕の中に!この感動、この幸せ、いまなら俺、ほんとに死んでもいいかもしれない。
ありがとうハンター協会!世界中の皆に幸せをお裾分けしたい!胸元に顔を埋めたスズに心臓が止まりかけた。そのあと信じられない速さで鼓動する。ふ、一瞬息も止まりかけたぜ。あ、スズの匂いもする。
幸せに浸っているとカカシが邪魔してきた。うぜぇ。
「オビト?」
「スズこんな奴気にしない方がいいよ」
「でもカカシ…オビト熱でもあるの?顔赤いよ?」
コテンと首を傾げて額に手をあてるスズ。あ、顔近い。手、ちっさくて可愛い。
「ちょっとオビト、いい加減こっちに返ってきなよ…
そのまま死んでくれればいいのに」
カカシが呼びかけるまでなんか川原にいた。反対岸からマダラが手を振っていたからダッシュで逃げてきたけど現実にも憎たらしい奴はいる。
「おい、」
「っち」
その晩、一睡も出来なかった。
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