上のオビト視点
「ではこれより、ハンター試験を開始いたします。こちらへどうぞ」
その科白を合図にオビトはカカシの鳩尾を蹴り、後方に吹っ飛ばした。
スズに先ほどまでべったりくっ付いていたのが気に食わなかったからである。
カカシの「覚えてろ!!」という科白(実際には口の動きを読んだ)を無視してスズの隣を走っている奴らに殺気を放つ。ピエロがつられてこっちを見てきたが無視だ。
そのまま二人仲良く走っては「疲れたら俺がおぶる」とか「喉が乾いたら謂ってくれ」とか甲斐甲斐しく彼女の世話を焼きにかかる。
苦笑するスズすらオビトの目には謙虚な可憐な少女にしか映らない。恋は盲目である。
*
奔ること暫く。するとあろうことか、オビトの目の前で彼のスズをナンパする不届き者がいるではないか!!
アスマがこれを知ったら「チャレンジャーだな」と謂いそうな行動である。
そのオビト曰くナンパ野郎はゴンというこの世界の主人公である。スズのように外見だけ子どもな少年ではなく通常より純粋さ100パーセントなレア物な存在にはそのような下心はなかったが、相手はスズのためなら世界すら壊して見せるオビトである。子どもだろうと赤子だろうと関係ない。
スズに触るなアアアア!!とその射抜くような眼力に怯み怖気付く者もいれば、戦闘態勢に入って武器を構える者もいた。
オビトの過剰な反応は相手はまだ子どもだという以前に、ゴンと同年代である油目一族や奈良一族の小僧どもで油断ならないことを体験したからである。
いざとなったら非能力者でも構わない、例え内一人がイルミの身内だろうと俺のスズに手を出そうとした時点で死刑だ。うちはを嘗めるなと、悪意をもったオーラを飛ばそうとして、やっと追いついてきたカカシに止められた。
「何をする(お前だってスズが大事じゃないのか?)」
「このバカオビト!!ったく……あ〜キミ達?ゴメーンネ?このおじさん偶に変なこと言い出すから気にしないであげて(だからって何もスズの目の前でやること無いデショ)」
「うん!分かった!」
「……。」
カカシの心の声を知らない子どもは素直に頷いた。おいおい、こいつも俺と対してかわらねぇーぞ。堂々としている分、俺の方がマシだ。
その後癪なことに俺の師匠(なんで俺の先生ってミナト先生以外、マダラといいコイツといい変人しかいないんだ?)が遊び出してスズの目が腐らないように死守していた。
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