おぼえていますか | ナノ
まず試験会場入りです




「こちらが受験者番号となります。どうぞ」
「…ありがとう」




何とかパームちゃんを説得してやってきたハンター試験会場。
エレベーターで地下100階に降り立ち渡された受験番号は15番。中々早いほうだ。

二時間もしたら200人くらい集まっていた。凄い、暑苦しい。

パタパタと手で風を仰いでいたらあのトンパさんに話しかけられ適当に聞き流しながら内心で一寸感動していると、誰かが来たみたいだ。チンッ!という音とともに開いたエレベーターから出てきた見覚えのありすぎる男に思わず、「あっ」と声を洩らすと、


「スズ〜〜ッ!!!!」


オビトがトンパさんを吹っ飛ばしてそのまま抱き付いてきた。しかも大きい。今の私はトリップしたとき縮んでゆっくり成長したから14歳くらいだけど、オビトは30代の時の姿だ。といっても見た目20代前半だけどね。


ギュッと強く抱きしめられる。オビト、苦しいよ。
しかも肩口に押し付けられた顔の下、つまり私の肩が湿っぽい。やだオビト、泣いてるの?

「泣かないの」

「うっ、ぐっ、ふぁ…スズ〜〜」


苦笑してポンポンとあやす様に成人男性を慰める少女は目立っていたがスズがそんなこと気にしていられないくらいオビトは只管濁音混じりで「スズ」と繰り返す。それしか言葉を知らないように口は彼女の名前を呟き、絶対に離さないと謂わんばかりの腕力で抱き込むオビトも傍の視線何て端から気にしていない。

が、偶然にも同じエレベーターで降りてきたツルツル頭のおしゃべりな忍者は、下に着くなり「スズ!!」とか謂って走り出した相席した男が気になって後を追ってきたらしく、常人より大きな声で「オビト」と呼んで、傍から見て少女に襲い掛かっている男に驚き、二人の空間に割って入った。


パシーン!!


「なにいたいけな少女を襲ってるんだよ!!」


オビトの頭をどこから取り出したのかスリッパで叩いたハンゾー。
だが叩かれた本人はゆらりと身体を揺らして色違いの瞳のうち写輪眼を鈍く光らせて唸るように低い聲で謂った。


「ハンゾー・・・貴様、俺とスズの蜜月を邪魔するな」

「(あ、やばい。)オビト、ま「神威!」……」



止める間もなく異空間に飛ばされたハンゾー。彼は後から追いついてきたカカシが「やっと逢えた!!」とスズに泣きつき、落ち着いた一時間後、よくわからない空間に封じられて為す術もなく精神的に疲労を伴って救助された。




***

補足

15番=スズ
295番=カカシ
296番=オビト

ハンゾーと同席して会場にやってきたため名前は知っている。
スズの外見年齢は14歳。カカシ達は原作二部くらい。オビトの目は忍界大戦中と同じ。



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