はたけカカシのクリスマス(本編完結後)
朝起きたら、なんか凄いものが視界に映った。
「メリークリスマス!カカシ」
スズがサンタコス(しかもミニスカ)だった。え?何コレ。
世の中がクリスマスシーズンだと浮かれる中、ナルトたちは同期で集まってクリスマスパーティーを計画していたが、俺たち上忍は当然任務がギッシリ入れられている。特に俺は暗部じゃないのに、いまだに慕ってくれる後輩がいるせいか、臨時で暗部に入れられる始末。
ちょうどイブの前日、等々チャクラ切れを起こし、当日は病院のベッドで一人寂しくクリスマスを過ごすのかと思っていた。
「カカシ大丈夫?いつも頑張ってるけど、今回はちょっと無理しすぎよ?」
赤いサンタの服だけど、スズが天使に見える。
お見舞いにも来ないうちの部下たちは薄情者だと落ち込んでいたが、今ならこなくてもいい。むしろ来るな。
ほら、綱手様にお願いして、ここでケーキ食べてもいいって。ちゃんとカカシでも食べられる甘さ控えめだよ!って気遣ってくれるとこがチャクラが少ない身体を温めてくれる。
「って、カカシ?泣いてるの?」
うん、だってね、こういうの久しぶりだから。オビトが死んで(ほんとは死んでなかったけど)、スズがいなくなって、ミナト先生たちまで消えてから、誕生日もクリスマスも、ずっと一人だったから。ガイとかが誘ってくれたけど、それでもスズたちのことを思い出しちゃうから辛くて、悲しくて、全部忘れる様に任務に没頭していた。それが今年は違うんだって、スズが本物なんだって思うと、嬉しくて涙が止まらないヨ。
情けないことにいい歳こいてグズグズ泣いても、スズが仕方ないなぁって頭をなでなでしてくれるから、中々止まらない。
もっと早くスズが好きなんだって気づいていればよかった。オビトに遠慮してないで、自分の気持ちを伝えていれば……。
そんなことを胸の内で考えていると自然と下を向いてしまう。俺の複雑な気持ちを知らず、スズは臥せた顔を持ち上げ、上を向かせた。
「ふふ、これからは誕生日もクリスマスもまた一緒に過ごそう!それからお正月は皆で初詣に行って、バレンタインはまたカカシにチョコ作ってきてもいい?」
「うん。スズのなら食べれる。大晦日、スズと一緒に過ごして、初詣にいきたい」
「うんうん。ほかにもやりたいことある?」
やりたいこと、俺が云ったことを叶えてくれるの?
いっぱいある、いっぱい、スズといたい。もう離れたくない。
「俺も……うっ!!」
スズと一緒に住みたい!と続ける筈が、途中で身体の上に突如出現した重りに、弱った体はいとも簡単に悲鳴を上げた。
痛みで蹲っていると、心配するスズの呼び声が聞こえる。
何とか顔だけでもあげれば、俺の腹部を踏みつける足の主の顔が見える。
「悪い子にはこっちのプレゼントをやろう」
キランと光る包丁片手に、真っ黒なサンタの衣装を身に着けたオビトが冷たく俺を見下ろしていた。
(邪魔するなよ)
(五月蠅いお前今スズに何を云おうとした。俺たちの邪魔をするな)
(俺だってスズと暮らしたい!)
(黙れ殺すぞ!)
(二人とも相変わらず仲良いなぁ)
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