19
「これからどうしようか」
オビトは一応殉職したことになっている。ずっと傍にいると約束したからには、私も里を出た方がいいのかな。二人重ねた手がギュッと強まる。
「里に戻るよ」
オビトの口から出た一言に吃驚する。
「え、でも」
「これを使うさ」
フッと笑ったオビトが示したのは左目。赤い赤い写輪眼。オビトのじゃない目。
「一部を除いて里の人間に俺が死んだ事実を書き替える。かつて存在したうちはシスイの瞳力ほどじゃないがそれくらいの力は俺にもある。」
「一部だけ…?」
「……俺は赦されないことをした。先生やクシナさんを殺したのは俺だ。」
「うん、」
「里の人間に何を思われ、何を云われてもどうでもいい。ただ三代目とイタチ、それと今のスズを知っているアスマ、最後にカカシ。この四人には覚えていてもらう。俺がしたことも全部話す。責められるのも覚悟の上だ」
それなら
「私の記憶も消しちゃダメよ。」
「っ!??」
やっぱり。
「私の記憶、消すつもりだったんでしょ。ちゃんと解ってるんだからね」
「スズ……でも、これ以上苦しむ必要は『私はオビトの傍にいるって云った!』……」
「オビトの傍にいるってことは、オビトを見張ってるってことでもあるし、オビトを支えることでもある。どっちも今のオビトを知らないと出来ないよ。仲間を助け合って、大切にする。オビトが私たちに教えてくれたことだよ」
「ああ、そうだな」
「うん。だから私も頑張る。カカシと向き合うよ」
今更後戻りすることも出来ない。過去の後悔を、今はただそれを引き摺って背負い続けて、生きたいと願うなら、カカシにもちゃんと向き合おう。オビトが傍にいて、また私に勇気をくれるから頑張れる。
「オビトがいるから、頑張れるよ」
「そうか……もしカカシがスズを泣かせたら死ぬまでぶん殴ってやる」
「……本気?」
「だめか?」
「だーめ!」
「(スズ可愛い!!)」
あ、今オビト違うこと考えてる。
でも今のオビトは見たこともないくらい幸せそうな顔をしていた。
***
おまけ
…――オビト!
…――ん?なんだ?
…――ふふ、大好き!
(その後気絶したオビトを迎えに来たイタチさんが代わりに抱えて里まで戻ってくれた)
第一部・完
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