おぼえていますか | ナノ
09



「そこだぁ!」


いきなり叫んで茂みにクナイを放つナルト。実際は何もいなかったのだが、どうやら自分もカッコいいところを見せたいらしい。カカシたちにいい加減やめなさいととめられていたが、ナルトが投げた苦無はまだ茂みを飛び進んでいる。

ドス!

「中々鋭いな・・・」

苦無は先ほどからオビトにあたっていた。但しオビトは神威を使って苦無をすり抜けさせ、回避している。
少し関心しているとナルトが最後に投げた苦無はオビトではなく再不斬の方へと向けられた。それによって新たな戦闘が開始したのだが……。


「へぇー、これはこれは霧隠れの抜け人、桃地再不斬君じゃないですか」
「写輪眼のカカシと見受ける・・・悪いがジジイを渡してもらおうか」

“写輪眼”という単語にナルトとサクラとタズナは疑問を浮かべ、サスケは眉を顰めた。オビトは渋い顔をしている。

「お前たちは戦いに加わるな。それが、ここでのチームワークだ。・・・再不斬、まずは───俺と戦え」


そう言って左目を覆っている額当てを上げたカカシ。本来自分の左目にあったはずのもの……今は代えの写輪眼が入っているオビトは自身の左目を手で押さえながら観察する。


「ほォー、噂に聞く写輪眼をさっそく見られるとは光栄だね」
「さっきからシャリンガン、シャリンガンって!なんだ、それ!」

二人の会話についていけないナルトが他を代表するようにカカシ達の会話に割り込むが、その問いに答えたのはサスケだった。
そのうちはの教本に書いてあるような解答にへぇ〜と内心呟く。再不斬の術で辺りの霧が濃くなると、オビトは「スズ」と哀愁漂う様子にチェンジした。ちょっとしたことからスズを連想してしまい、オビトはずっと泣き続けたせいで目元が真っ赤だ。


オビトが一人スズに思いをはせていると、いつの間にかどんどん視界が悪くなり、とうとう周りが真っ白になった。数メートル先にいるはずのカカシの姿すら認識できないが、忌々しいことに自分の眼とカカシのそれは繋がっているため万が一のときは解るだろう。

すると「八ヶ所・・・」再不斬の低い声が響く。
「喉頭・脊柱・肺・肝臓・頸静脈に鎖骨下動脈・腎臓・心臓───さて、どの急所がいい・・・」

薄気味悪い哂い聲が空気を振動させ、ゾッとするような殺気がサスケたちを襲う。気の狂いそうな重圧に、ナルト、サスケ、サクラ、タズナの顔から血の気が引き、身体が震えだす。

特にサスケは実力がある分、ナルト達以上のそれを感じるあまり、持っていたクナイを自身に向けた。だがそれに気づいたカカシが安心させるように笑い掛け、亡き親友から教わった誓いを口にする。

「安心しろ、サスケ。お前達は俺が死んでも守ってやる。・・・オレの仲間は絶対に殺させやしないよ」



バキッ!!

「……、」

オビトの手の中で傍にあった枝が折られた。今日はトビモードに使用してきた仮面を着用しているため、片目しか見えないが残された右目は爛々と輝いて今にもその効果を発揮しそうな感じがした。





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