08
オビト視点
俺はイタチとの情報交換のため、里外に出るサスケの情報も集めるようにゼツに言い聞かせてある。
ゼツはマダラの配下だが、スズを守る為に暁はまだ必要だ。だからこそ解散させていない、が・・・。
だがサスケの所属する七班の情報がくるということはつまり、必然的に知りたくもないサスケの担当上忍の情報も耳に入ってくるということだ!あの白髪みたいな銀髪も、全体的に昔以上に不審者っぽい猫背の背中も、どこかの誰かを重ねたような行動の数々、ああ視界に入れただけで神威で吹き飛ばしたくなるな。
水溜りに化けた中忍が隠れてるけど、ゼツの情報では霧隠れの鬼人の部下だったような……
(カカシを亡き者にしてくれないかなぁ…)
思わず本音が漏れる。カカシは水溜りに隠れた二人組に気がついているから大した収穫はないだろう。
通り過ぎたカカシ達の背後で水音が聞こえた。次の瞬間には木端微塵のただの肉の塊に分解されたカカシ……あっという間の出来事。
次に敵は下忍たち、そしてターゲットのおっさんを襲うが、オビトは心底残念そうにバラバラ死体を見つめていた。
(あのまま死んでいたらなぁ…)
チラリとサスケの様子を窺うが余裕そうだ。傷一つでもあればイタチが煩そうだが、あの調子なら放置しても大丈夫だろう。問題は初めての実戦だったからか、一人ビビってる先生の息子がへたり込んでいる。あれじゃだめだな。
「うわあ!!」
ナルトの声にチっと舌打ちをする。何を怯えてんだよ。そう悪態をつきながらも、これは昔の自分と重ねたからだろう。ナルトは悪くない、だが過去の自分ほど嫌いなものはないのだから仕方がないだろう。
鎖を捨てた奴らはそのまま、おっさんのほうへ移動してくる。だが苦無を構えおっさんを庇うサクラの目の前で奴らは消えた。っち、
「……そのままくたばればいいのに」
嗚呼いけない、つい声に出してしまった。変わり身を使って死んだふりをしていたカカシにそう毒づく。離れた場所にいるためカカシはこちらに気づかない…それでも警戒して極力声を洩らさないように気を使った。
「ナルト、すぐに助けてやらなくて悪かったな。ケガさせしちまった……お前がここまで動けないとは思ってなかったからな」
(うぜぇ…ならとっとと仕事しろよバカカシ)
「ナルト!ケンカは後だ!こいつらの爪には毒がぬってある・・・ナルトはすぐに毒を抜く必要があるな」
(ここからサソリから(勝手に)借りてきた毒つき苦無を投げたら当たるかな……)
知らず知らずのうちにクナイホルダーへと伸びていた手をポケットにしまい込んだ。
嗚呼、スズに会いたい。でも暫くはスズの顔を見ただけで泣きそうになるから会えない……っぐす。
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