おぼえていますか | ナノ
04



オビトが去ってからシノに何度も「ごめんね」と謝り倒していると、シノに「何でスズが謝る?」と謂われた。

正直無意識だった。前世でオビトやカカシが何かやらかしたら一緒に謝ってたから……でもその次にシノに云われた科白で頭が真っ白になった。

「スズは今の男が好きなのか?」


呆然と立ち尽くしていると、置き去りにされた花束が視界に入る。

ガサリッと音をたてながら拾い上げれば、落ちた衝撃で一寸花が散ってるけど、可愛い花束だ。ピンクや黄色、白にオレンジ、優しい色合いで纏まったそれは、下の方を赤いリボンで止められている。

「(……オビト)」

そういえば昔カカシの上忍祝いを企画してた時に、呼び出したオビトも何か隠していたなぁ。漫画だったら、たしかリンに渡そうと花束用意していたんだっけ……。もしかして私の時もそうだったのかなぁ。


さっきシノに対して抱いた気持ちは、昔カカシを想っていた時のそれに似ている。似てるけど、今オビトが落して行った花束を持つ手から胸まで伝わる暖かな気持ちは何だろう。

怖いくらい物騒な双眸でこっちを見てたオビトが怖いと思うのと同時に、姿を見れたことが嬉しいと胸が躍ったりする。

シノたちとは違う、ナルトやサスケに感じるものでもシカマルに対するものでもない、この感情は何?

(その答えを、私は屹度『解っている』、だけど認めるにはまだ踏ん切りがつかなかった)




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