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「それは一体・・・」
「私も私が解らない。でも私が貴方も知っているスズだったことはおぼえているわ。でも貴方や里の皆に否定されるのが怖くて隠れてばかりなスズなのも事実。私はね?いまだに彼らに会わす顔がないのよ」
例えばそれはミナト先生や面なしのオビト、そしてカカシ。
物言わぬ屍となった先生にはごめんなさいしかいえない。
この間会えたオビトを追いかけて、戻ってくるように言うことも出来ない。
毎日お墓の前に佇むカカシには言葉も出ない。
ねえ、私って何なんだろう・・・?
誰にも聞けない、誰にも話せない。
ただの臆病で卑怯な自分が嫌で仕方がない。
「貴方は・・・」
「かがちスズだ、紅先生」
ハッと、自分の弱さに項垂れ、歪められた顔を上げると声の主・・・シノがそこにいた。相変わらず何を考えているか分かりにくい風貌だけど、シノは続けた。
「そもそもスズとアスマ先生の関係は噂されているような淫らな関係ではない。確かにあの二人よく一緒に茶屋に通うが、それは全てアスマ先生が紅先生とのデートになにを送ればいいとかどこに連れていけばいいとかの相談だ。証拠は今向こうでイノに揶揄されて落ち込んでいる先生の姿だ。」
指差した方向では凄く楽しそうなイノとこれ以上ないってくらい情けない顔を浮かべるアスマ。
紅は「そうね、御免なさい。」と謝りそちらに足を進める時、すれ違った私の耳元で「貴方は私の年下の親友よ」って言って笑った。
「シノ、どうして「ほら、行くぞスズ」・・・」
待っていてくれたシノの右手に手を重ねて一歩踏み出した。
その差し出された手を重ねる時に、自分の心に生まれた感情とともに――
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