おぼえていますか | ナノ
07




紅視点


あの子が・・・


合同任務というより合同演習をすることにした私とアスマの班。ガイ班とは日向関係でうちのヒナタが今はまだ迂闊に近づかない方が得策だし、カカシの班に関しては今長期で他国での任務中だとかで不参加。
……でもこれでよかったとあの子をみてそう思った。


屹度私が見ていることに気づいているだろう……彼女はうちのシノやヒナタと御喋りに花を咲かせている。それにしてもあんなに饒舌なシノは初めて見たかも。
ここは担当上忍として可愛い教え子の恋路を応援してあげたいところだけど生憎と相手があの子じゃそれもできない。


「似ているわね…」

「そ、そうか?」


そう、私の親友で同期だったのはらスズに似ている。あの子はかがちを名乗っているけど名前は同じだから猶更同一人物にしか見えない。
ただあの子の外見が正真正銘12歳で尚且つ本人が死んだことは紛れもない事実だからこそ生まれ変わりなんて言葉を思い浮かべてしまうのだ。

そしてただスズにそっくりさんってだけなら私だってここまで悩まない。話しかけて、それで私の知るスズとは違うんだって確かめてそれっきり。同僚の教え子で私の部下の友人と認識するだけでいい。


だけどそれが出来ないのは私とアスマが所謂、こ、恋人同士であって////というか、みたいにあの子に関してはアスマが挙動不審になっていることが現状を複雑化させているのよ!!


私も信じたくないけど、アスマがあの子とただならぬ関係だという噂が事実のように思えてくる。

他の部下(猪鹿蝶トリオ)とは別にあの子と二人っきりで甘栗甘に何度も足を運んでいるって目撃情報もあるし。

勿論生徒に相談を受けているとも考えられる。実際私もヒナタとかキバとかシノに個別に弱点克服の相談を受けることがあるし、あの子はアカデミー時代から先生に積極的に質問しにいく真面目な優等生だと聞いているから邪推しなくていいとも思う。相手はまだ12や13歳の子どもだし、アスマは見た目はあれでも二十代後半で、ひょっとしてアスマってロリコン?嫌々そんな気を起こしていないと思いたい。でも世の中には「愛には歳なんて関係ない」って言葉も存在するわけだし・・・嗚呼もう!!


アスマの私への愛情を疑うことはない。あのアスマが花を送ったのは今も昔も私だけだ。


でも、


――ちょっと紅!見た!あれ、どーみても教え子の相談にのってる上司じゃあないわよ!!

――只ならぬ雰囲気ですね。

――もしかしてアスマ先輩ってロリコン?

――でも相手の子も大人っぽいわね。


私の不安を煽るように周囲が親切なのか嫌がらせなのか齎す二人の情報に何度耳を塞ぎたくなったことか。
アスマに会うたびに「あの子とはそういう関係じゃないわよね?」と口から出そうになって、あと一歩のところで口にできない。よう!と気軽に挨拶してくれるあんたがあの子の前でもそんな笑顔を浮かべるのかと思うと胸が軋む。だから作ったような笑顔しか返せないのに、あんたはそれに何も言ってくれない。いつの間にか私たちの間に壁が出来ていた。

そして偶然見かけた、アスマとあの子が何の違和感なく一緒に笑いあっている光景を・・・


ねぇ、もう一回聞いてもいい?

“あの子は誰?”


音にならない質問は彼には届かなかった。





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