おぼえていますか | ナノ
05




イタチ視点



中々の速さで逃げた彼女の背中を目で追っていると影が差した。

「…君は奈良家の」

確か、そうシカクさんの息子だから……サンカク君?そうサンカク君だ、サスケと同期の。


「…シカマルっす。うちはイタチさん」


あ、違ったか。惜しいな。まあ兎も角


「あのタイミング…君、態とだろう」

「ん?何の事っすかね」


何てことないと装っているが彼は大分頭が切れるようだ。
そう関心していると対面に座るアスマさんが渋い顔をしていた。まあそうだろう、聞きたかったことが全く聞けないまま彼女に逃げられたのだから。
かといって彼女を再び追うにもここまで目立っていては意味がない。あの様子じゃアスマさんは仮面の男がトビで写輪眼を持っていることにすら気づいていない。対してスズちゃんは色々と察しているようだ。アイツがスズちゃんを監視するように言ってきて一族を救ってもらった手前、断れなかった無理難題からアイツは彼女に言葉では言い表せないほど執着していることが窺える。恐らく、アスマさんと彼女がつい最近出来たばかりの先生と生徒の関係にも関わらず、醸しだす雰囲気が熟練したそれで二人には目に見えない絆があるように感じることが関係している。俺が知りえない彼女の何かとトビとアスマさんは屹度繋がっているだろう。


だがそれに関して気づけたのは俺がトビのうちは放火事件以降の奇行を知っているからであり、スズちゃんともそれなりに友好関係を築いていたからであり、結果的に彼女を逃がしたシカマル君は何一つ知らないはずだ。俺が見てきた限り、彼は彼女の秘密に勘付いている、もしくは疑問を感じているはず。今見て見ぬふりをすればヒントくらい入手できたはずなのに水を差したのは何故?


ジッと見つめていたらめんどくさそうに頭を掻きながら「あ〜」と唸ったかと思うと、


「あんたの言いたいことは解る。だがな、少なくとも俺は話したくないって言ってる女から無理矢理聞き出したくねぇーんだよ。アイツが俺やイノやチョウジと違うってのは解るがそれでもアイツは俺らのチームメイトだ。アイツが話してくれるまで気長に待つさ」


真っ直ぐ俺の目を見てそういったシカマル君に敗北を感じた。アスマさんもそれにばつが悪そうな顔をしている。
……任務中のサスケよ、どうやらライバルは中々強敵らしいぞ。





prev next


「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -