おぼえていますか | ナノ
04




「ほら、これで教えてくれないか」
「……イタチさん。みたらし団子で釣れるのは貴方かアンコ…さんくらいですよ」
「っち」


うっかりアンコの名前を呼び捨てに仕掛けたところで慌てて敬称をつけたした。私の方が舌打ちしたいこの状況。クマ…じゃなかった、アスマは一服してるし、イタチさんはお団子をほらほらと差し出してくる。

大体仮面の男、基オビトに関して変にずれているのだ。アスマは彼をただの不審者だと怪しんでいるし、イタチさんはマダラかそれに近い者だと警戒している、彼がオビトで放っておくと忍界大戦を起こしかねない危険人物だと正しい判断が出来ているのは私のみ。この推測は謂わずとも私の持つ原作知識からたてたモノだ。

しかしオビトに関して目の前の二人に話すには私がのはらスズの記憶があること以上に信じてもらえないようなおとぎ話のような証拠しかない。
話そうにも、どこから話していいのか分からないし、そもそもイタチさんが里にいる時点で色々と食い違っているのだからもう私には何が何やら解らないのだ。どう説明しろと?


「そういやぁそろそろ合同任務をやるみたいだが…お前どうするんだ?スズ」


プハァーと煙を吐き出したアスマがチラリと視線を投げかけてそうのたまった。謂われて愕然とする脳をなんとか起動させて思い出す。
新米下忍で行われる合同任務は昔やった。のはらを名乗っていたあの頃にやったそれはオビトとカカシの凸凹コンビに散々な目に合った苦い思い出しかない。それを今度はイノたちとやる分には寧ろ喜ばしい。イノもシカマルもチョウジも将来的には彼らの父親に優るとも劣らない抜群のコンビネーションを見せてくれるだろうことが予測できるほど今、その片鱗がある。私は彼らの抜けている部分を補うことで今チームワークを守っているが今回の問題は班員ではない。また一緒に組むだろう他班の同期生でもない。


その同期生を引率してくる先生(カカシとか紅とかカカシとか…)が問題だ!!
もしかしたらガイも来るかもしれないけどアイツは忘れっぽいから一番安心できる。そうだ、ガイが来い!ガイに来てほしい!


「…何考えているか大体わかるが来んのはガイ班じゃなくて紅のとこだからな?…まぁカカシのとこは今里外に出てるから仕方がねぇーけど」


安心できない!!紅とか勘が鋭いから絶対怪しまれるに決まってる!
ああ、もう!と、さっきから黙々と団子を消費するイタチさんを余所に一人頭を抱える私にアスマは全くフォローも入れてくれなかった。


傍から見たら生徒をいじめている先生の図だとアスマたちは自覚していない。
だから近寄ってきた彼をみて驚いた。


「おいアスマ。スゲー目立ってるけどあんたらスズ苛めて何してんだよ」

「ほんとだ〜アスマ先生がいる〜」

「……シカマル?」


メニュー表を凝視するチョウジとシカマルの介入で周囲を見渡したスズは顔を引き攣らせた。
確かにここは一般人も多く利用する茶屋だが昔から同期でよく集まったなじみ深い場所だ。だからこんなやり取りも慣れたものでアスマも私もなんの違和感なく尋問紛いのことをしていたが確かに今の私はシカマルたちと同じ新米の下忍、対してアスマは里が誇る上忍。イタチさんも暗部でうちは一族の嫡男且つ里有数の実力者となれば目立つ。とんでもなく目立つ。シカマルが「いけよ」と視線をくれたのでありがたく連行してくれた二人を置いて逃走させてもらった。




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