おぼえていますか | ナノ
01



オビト視点



「オ、ビト………」


ああ、懐かしい。一つしかない仮面の穴から覗かせた目でスズの吃驚した表情を捉えた。

4年間影ながら見守ってきた彼が彼女とここまで近くに存在するのは、オビトが老人に化けたあの日以来だ。出来ることなら片時も離れたくなかったオビトも暁やらゼツやら、簡単に捨てきれない問題を持っていた。というより自分が企んでいた計画の後始末に時間をかけていた。十年近くの時間を費やした世界を作り替えるという壮大なスケールの悪夢をなしにするのは、世界ではなくスズのためである。

アカデミーを卒業したスズは実は本来カカシ班に入れられそうだった。それもそのはず、性格的に難があるサスケを上手く扱えるのももう一人のくノ一といがみ合わず、ナルトのフォローもできる。スズがいれば安心だと三代目は考えていた。しかし偶々火影邸に侵入しそれを聞き取ったオビトは上忍師の名前を聞いて手を回した。

オビトはずっと今のスズを見てきた。だから彼女が里内で何を恐れているか、当然知っている。カカシではなくアスマの班に入れる様に進言するようその辺のアカデミー教師に幻術をかけたのも、彼女を思ってだ。少なくともカカシがスズに「先生」と慕われるのが気に食わない、羨ましいとかではない。嫉妬ではない。


よってアスマ班が里外任務に出ることになったと知ったとき(この時は暁のアジトでデイダラに蹴り飛ばされていた)急にハイテンションのトビから真面目(偽)マダラモードに変貌し、スズが向かう先の情報を仕入れたりした。(急変する彼の性格に暁メンバーは慣れてきたため二重人格だと思われている。)

そしてただのCランク任務ではないことを知ると飛んで駆けつけた。その時波の国でカカシたちも危険な目に合っていることに気が付いたがそれは放置した。
駆けつけた先、霧の抜け忍がアスマたちを襲っている。襲撃前に到着したオビトだが、その後流れる様に鮮やかに終わったスズの戦いに見惚れて苦戦しているアスマなど記憶から飛んでいた。

だから他の下忍が余計な手出しをして敵の怒りを買おうが知ったことではなかった。
しかしそんなことも謂っていられない。彼の大切なスズが仲間のくノ一を守ろうと盾になった。

その光景に瞼の裏がカッと熱くなる。スズの前に立ち、ご丁寧にチャクラ性質を使った武器を神威で飛ばした。

ここで冒頭である。





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