おぼえていますか | ナノ
03




イタチとオビトによる、一族殲滅任務当日。
イタチはいつも通りの日常を表面上では送っていた。
最後の、兄としての姿でサスケを見送り、息子として母の御小言を貰い、父とは最後まで溝があったかもしれない。

だがイタチに残された道はこれしかない。彼の任務は夜に決行される。




一方、オビトは朝から老人に姿をかえ、アカデミーの通学路をうろついていた。よぼよぼで、杖を突きながらゆっくり、ゆっくり歩く老人に。どうしてもそのモデルがマダラになってしまったのは仕方がないことだろう。そして早すぎず、遅すぎず、程よい時間帯にそこを通る一人の少女と接触した。


「おじいちゃん、何処に行きたいの?」

邪魔にならない程度に身体を横から支えて一緒に付き合ってくれる少女の名前は昨日の段階で調べてある。その名前を知った時は背筋が凍った。
だから彼女が名乗った今でもその名前を口にはしない。


「お嬢ちゃんのお薦めの店に案内してくれんかい?」

当初は一目間近で見られればという思いも、今では少しでも一緒にいたいというものに変わっている。
簡単に、孫娘への贈り物を探している、付き合ってほしいと我ながらありきたりな誤魔化しに呆れたが快く了承してくれたことにホッとした。(この場合アカデミーをサボることになるが意外と昔のカカシと違ってそのへんのことをスズは気にしない)


こっちよ、と案内されたのは昔オビトがスズに連れていかれた雑貨屋。まだ有ったのかと、感慨深げになるオビトと我がことのように楽しそうに彼是手に取っては「これは?」と尋ねるスズにその全てを買ってあげようとしてハッとした。俺は今何を・・・だがすぐに楽しそうに笑う彼女の横顔を見つめる。いつだってその顔はオビト以外、カカシに向けられていたもので、オビトにとっては切なくなるものなのに、


(……懐かしいな)


不意にスズはオビトに振り向き、とびきりの笑顔をむけて云った。

「ちゃんと選んでよ!」 (オビト、ちゃんと選んでよ!)


その顔が、昔の面影と重なった。




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