04
対面するアスマは前の面影と知識として知っている顔を持っていた。
さっきは必死に目を合わせないようにしたためじっくりその顔を眺めることは出来なかったが、思わず『熊』と呼んでしまったのも納得できる風貌だ。紅と上手くやっているなら二人並ぶと屹度美女と野獣みたいな光景だろう。なら
「紅はベルかしら?」
「はっ?」
考えていたことが最後だけ口から洩れたらしい。何でもないと首を振って本題に入りたいようで自分から切り出せない様子のアスマに向かって精一杯の虚勢で答えた。
「そうよ、私はあなたと同期で元ミナト班だったのはらスズよ。」
「生きていた・・・ってわけでもないのか?」
「ううん。私にはあの時死んだ記憶があるの…つまり生まれ変わった、というのが適切なのかなぁ」
あははと空笑いを浮かべるがアスマは誤魔化されてくれないらしい。険しい表情で一番聞かれたくないことを聞いてきた。
「……なぁスズ。お前…………カカシと会う気、ないか?」
「………うん」
やっぱりか。ガシガシと頭を掻いて困っているアスマには申し訳ないが、正直今こうやってアスマにバレタのも想定外だ。
「カカシは例えどんなお前だって受け入れるぜ?」
「うん。……でもね?屹度私に逢うことでカカシは苦しむと思うの」
前世の私の墓は10年近く経っても綺麗に掃除されているし、花も活けられている。誰がしてくれているのかも知っている。
「じゃあ一つだけきかせてくれねぇか?お前、忍びに成りたくないって思わなかったのか?」
一瞬何を問われたのか分からなかったが、つまり里のためにあんな死に方したことで今後悔しないのかと言いたいのだろう。アスマは優しいって紅が言っていた意味、今なら解るかもしれない。
「それでも私は木の葉隠れの忍びでミナト先生たちから受け継いだものを捨てられないの」
アスマが昔から苦手だって言っていた『火の意志』を消せないのよ。
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