見渡す限りの青い春を、私は憎む
うずまきナルトは悩んでいた。
幼少期からは考えられないが、18歳のナルトは数多くの困難を乗り越え、今では世界を救った英雄として、また近い未来火影として人々を導く輝かしい未来が約束されていた。
そんな彼の悩みは里の未来でも超難関任務でも今日の夕飯何にしようかな〜でもない。
彼はつい先日、恋人が出来た。幼いころから慕っていた相手ではないが、彼女の方は分かりやすいほどナルトに好意を昔から寄せていたため、彼女を妹のように思っていた班員は皆喜んだ。
ナルトの悩みはその彼女のことである。
ナルトは今まで恋人と呼べる人間がいたことはない。忍界大戦から数年――里の英雄から世界の英雄へと格上げされた彼は里からも里外からもモテた。幼少期の彼が同期で一番頭のいい男から『イケテねえー組』の同類と見做されていたことからは信じられないほどモテた。
要するに、だ。初めての彼女なのである。
うずまきナルトは彼女――日向ヒナタを愛している。付き合いたてとは言っても彼はヒナタと添い遂げる気満々だし、出来ることなら今すぐ結婚してもいいと思っていた。
ただそれは流石に早すぎだと周囲に反対され、尚且つヒナタ本人から『折角だから夫婦じゃなくて恋人同士の時間も欲しいです///』と紅潮しつつお願いされれば、すっかりヒナタ馬鹿へとチェンジしたナルトの答えは一つしかなかった。
あれからナルトはデートやら彼氏の心得やら書かれた本や雑誌を読むことが習慣になっていた。今日もサイの家でその手の本を読み漁るが、何度も読み返したためあまり意味がない。余談だが師であり六代目火影から渡されたイチャイチャシリーズは部屋の隅で埃を被っている。
う〜う〜唸っているナルトにサイは真面目な顔で提案した。
曰く『恋人がいる人に訊けばいいんじゃないかな？できれば同期じゃなくて実際長く付き合っている人とか鴛鴦夫婦とか』
そして、
「と、いうことで相談に乗って欲しいってば！オビト！」
「任せろ。お前にも俺のスズの素晴らしさを語ってやる」
太陽のような晴れやかな笑顔のナルトとドヤ顔のオビトの周囲に近寄る者はいない。シカマルあたりが目撃したなら『なんでよりにもよってその人に相談した』と謂われるだろう人選だ。
さあ、なんでも聞くがいい！と大らかなオビトにナルトは云った。
「恋人らしいことって何？」
片想い歴が恋人歴より長い男は答える。
「まず手を繋ぐことだ」「それもうやったってば！」
「…なら彼女に何か作ってもら『あ、このマフラーヒナタに編んでもらったんだぜ！』
……抱きしめてキスを『それもやった！』
…………まだ早いと思うが仕方がない。そこまで愛しているのならそれを形に、つまりプロポーズを『そんなのとっくに終わってるってば！』……」
「？オビト」
「ミナト先生だってそこまで手が早くなかったぞ！？誰だ、誰に似た？！カカシか？お前の上忍師の時の女関係は最悪だったあのカカシか？っち、あのクズが！」（……オビトってほんとにカカシ先生と親友なのかな）
＊＊＊
おまけ
オビトさんに聞きました
Q：ヒナタさんのことをどう思っている？
「日向ヒナタは俺とよく似ている。俺もアイツも謂わば長年一途に初恋の相手を想い続け実らせた者…いわば同士だ。俺の方が片想い歴は長いがアイツもよく耐え忍んだと思う。どちらも想い人のためなら自分の命も惜しまないしな。身近にライバルがいるところも似ている…俺ならカカシ、アイツならサクラと言ったところか。見つめる先に自分以外の同性がいるあの胸の痛み……だがそれを乗り越えてこそ今がある。もし困ったことがあったら助けてやりたいとは思うな。勿論スズに害が無い場合に限るが」
Q:カカシさんのことをどう思っている？
「屑、嘘つき、もやし、箒頭、泣き虫、鬱陶しい、居候、……あと元班員で元親友」
Q：スズさんのことはどう思っている？
「世界中の全てを犠牲にしても守りたいくらい愛している」
Q：原作オビトさん（スズから聞いて知っているだけ）についてはどう思っている？
「ある意味でスズは世界より重かったを体現した行動をとる奴に尊敬と嫉妬の念を抱くが、基本的にはどうでもいい。ただ奴の存在をスズが知ることで今の俺に対するスズの罪悪感と俺がああならないようにしっかり手綱を握らなきゃ！と目を離さないでいてくれるところを考慮すると俺の引き立て役としての価値くらいはあると思う」
Q：もし原作オビトさんに遭遇したら？
「スズと恋人になったことを自慢する」
Q:もし波風ミナトさんに遭遇したら？
「全力で土下座」
Q：もしうずまきクシナさんに遭遇したら？
「全力でスライディング土下座。多分一発ぶん殴られてから泣かれると思う」
Q：うずまきナルトさんの結婚式には呼ばれましたね？ちなみにその時のオビトさんはスズさんと結婚していますか？
「何を期待している」
Q:もしスズさんとカカシさんが結婚したらどうしますか？
「取りあえず十尾を連れて結婚式に乗り込む」
ありがとうございました。
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