おぼえていますか | ナノ
もしも記憶がなかったら


IF RE主にのはらリン時代の記憶が無かったら


転生、っていうのかな?平成日本という平和な時代で何不自由なく生きていた私が不慮の事故で死んだと思えば、NARUTOの世界に生まれ変わっていた。

本来なら漫画の世界だという違和感しかないはず…だけど不思議な既視感に、赤ん坊時代から始終首を傾げていたが、成長するにつれ、別の疑問が生じた。


(なんでこんなにも『のはらリン』にそっくりなの?)


鏡に映る同じような仕草をする少女…つまり私だが、どこからどう見てもあの『のはらリン』である。まさかよくある成代わり的なものかと思えば、苗字はかがちだし、時代は主人公世代。一体どういうことだってばよ、と現在アカデミーの同期な彼の少年の口癖が口から零れた。

チャクラとか苦無とか、何故か前世で縁もなかった武器が手に馴染むという違和感。
幻術の授業の度に無意識に強張る身体。
偶然見かけた露店で購入した鈴に対する知らないはずの懐古の情。
目を閉じて見れば、誰かの笑顔が浮かぶ。だけどそれが誰なのかは解らない。


ああ、解らない。何でこんなに懐かしくて、悲しいんだろう?
覚えていない“ナニカ”がこんなにも苦しい。




だから誰もいない演習場で1人頭を抱えて、叫んだ。


「誰か、教えてよ…」


私の知らない、“私”が何なのか……


***


オビト視点


やっと、見つけた…。


護りたい、傍にいたい、愛したいと願った君を失ったあの日から俺の世界は色褪せた。現の地獄でただただ虚しく、餓鬼の頃は怯えていた孤独でさえ、たとえ死にたくなっても、堪えて来た。他でもない、君の死を否定できるならば…もう一度、生きた君に会えるというならどんなに苦しくても俺は、俺は――…


瞬身で目の前に現れた俺に、ひゅんと鳴った突風で思わず目を瞑る君を強く抱きしめる。

一目見てすぐに気づいた――
だけど俺が好きな笑顔がそこにはなくて、
何が君をそんなに苦しめるか知りたかった。


だから、


「誰か、教えてよ…」


1人蹲ってそう叫んだ君に、


「スズ」


君は『君』なんだと教えよう。


カカシに殺された(苦しかった)記憶は忘れたままでいい。
岩に半身を押しつぶされた俺の手を、最後の最後まで泣きながら握っていた記憶も思い出さなくていい。

ただ俺に微笑んで、この孤独を満たしてくれる君の笑顔だけを思い出してくれればそれでいいんだ。


「俺と一緒に行こう」


昔と違って、今度は俺が君に手を差し伸べる。
華奢な身体の割に力強く俺を前へ引っ張ってくれた手を、俺の下へ引き寄せた。



もう、離さない。




***

後書き
このオビトはスズに前世の記憶があったことを知っています。どうしてかというと、そこは写輪眼クォリティー。本物かどうかは眠ったスズ宅に忍び込んで確かめる→そのまま誘拐しかけて何とか思いとどまる→そこから始まるストーカー生活→落ち込んだRE主みて行動(今ここ!)

多分この後、自分を知っているらしいオビト?に思わずついて行ったスズは溺愛されるが、当初リンにそっくりだから身代りだと思い込む。
段々オビトが好きになって、でも代わりだと思って悲しくなって、プチ家出→オビト発狂。

波の国辺りで第七班と遭遇→行方不明の友人だといって、里に帰還。RE主にとってさらに不幸なことに誘拐犯の罠かと警戒され、カカシ宅に暮らす。カカシの態度が毎回変わる、警戒したり、懐かしんだりと。

そしてストレス溜まって色々暴露したRE主にカカシも態度を改める。RE本編と違って、今回は和解の順がカカシ>オビト。多分この和解後の仲良しミナト班(但し担当上忍と班員一名欠員中)をオビトが目撃し、何かが切れた。

中忍選抜試験は本編同様オビトも参戦。ただし班員は暁メンバーの誰か。RE主は過保護カカシによって不参加。本戦出場時からオビトが無双。カカシ撲殺のために木の葉崩しに加担。「落ちつけ!」「黙れカカシ!」みたいな。原作で仮面マダラ=オビトだと発覚した時よりはショックはデカくない。寧ろ観客席のRE主を食い入るように見つめていたから何となく察していたカカシ先生。

RE主の記憶が戻っていたら、サスケの「止めてよ兄さん!」ならぬRE主の「止めてよオビト!」で平和的解決。
戻っていなかったらカカシVSオビトで、カカシが神威を使用し引き分けかギリギリ勝利で幕を下ろす。その後は徐々に和解。


と、考えたら意外と長くなった番外編でした。


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