01
会場に降り注ぐ白い羽。もしこれがスズの背中にはえる羽だったなら、俺は喜んでひとつ残らず回収しただろう。そして一つ一つ瓶に入れ、保管し、毎日鑑賞してはやはりスズは天使なんだと納得する。まあスズ=天使は当たり前だが。
オビトは粉雪のように静かに振り続ける幻想的な光景を前に、そっと目を臥せた。
「おい、莫迦なことしてねぇで早くしろ」
サソリの叱責を受けるまで、ずっと。
*
「あーやる気ないっス」
「トビモードはやめろ」
「やる気ない」
「お前黙れ」
下には砂隠れの手練れや音忍と戦う木の葉の忍び。幻術で眠らされた観客たちに混じって観戦していれば、遠方では火影VS大蛇丸の戦闘が見れる。完全に部外者を気取っているオビトとサソリには見世物でしかない。
仲良く並んでぼんやりと戦闘を見つつ、襲い掛かる敵を一瞬で沈める二人。
この二人、暁時代はそれほど仲が良かったとは言い難い組み合わせだが、元々トビモードのオビトを鬱陶しいと邪見にしていたサソリだ。それが改善されれば二人の仲は善く…はならなくとも、悪くはない。
「あースズいねぇとやる気でねぇ」
「お前仮にも故郷だろう?」
「それを云うならサソリだって、砂に味方しなくていいのか?」
「……まぁ、」
「なんだ?」
ジッと、サソリが嫌に熱心に見つめる先を辿る。あ、嫌な奴がいた。銀髪で、木の葉の青い珍獣の隣にいる奴。
「アイツら共倒れしてくれれば俺の傀儡にしてもいいよな」
「好きにしろ」
期待を籠めた眼差しを前に、オビトはあっさり元同期で班員を売った。
そして場違いにも暇そうに黄昏ていた二人を呼ぶ聲に振り返る。
「待たせたな、オビト、サソリ」
ペイン、小南、デイダラ、飛段、角都、鬼鮫、イタチ、黒地に赤雲模様の外套を纏った男女が揃った。
「さて、やるか」
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