03
本戦出場のために、スズも修行することにした。
元中忍とはいえど、今回は出場者が出場者だけに、手を抜けない。特に今の我愛羅は危険だ。一刻も早くナルトと本気のバトルをやって改心して欲しい。幸いにも彼女の試合は一回戦が不戦勝。我愛羅VSサスケの勝者と当たるが、記憶通りならそのまま木の葉崩しでおじゃんだ。でも万が一のことを考え、真剣に戦闘力アップを決意した。
今更だがスズには師匠がいない。
前世はミナト、今世はアスマ。とはいえ、アスマが具体的に彼女に合った修行を見てくれたことは一度もない。
お互い元同期として気まずさもあるし、あの四代目火影の教えを受けた彼女には物足りないだろう。教えられた修行内容の反復を幼いころより続けてきたスズには、今更下忍がよくさせられるチャクラコントロールなど不要である。
そもそも医療忍者にはチャクラコントロールが必須である。
そう考えれば求められる師匠は必然的に医療忍者、それも火影レベル。ミナトが良い先生の基準になってしまったのは致し方ない。心当たりがないとは言えないが、その人物は今里には居ない。
ならばもう一つの武器、『曲弦糸』。チャクラ糸を極細にし、あらゆる力を駆使して糸を操るそれは、砂隠れの傀儡使いに似ているという。
オビトはどちらも専門外だった。だが頑張っているスズを見るのも応援するのも彼にとって必然。渋々だったが、彼はとある知人を呼び出した。
「遅ぇぞ。俺は待つのも待たされるのも嫌いだ、知ってんだろぉ」
「悪いな。報酬は弾む。その代わり彼女の修行を見てやってくれ」
呼び出されたのは、血よりも濃い、赤い髪の男。
背後には脱ぎ捨てられた巨大な傀儡。オビトよりも若い外見に反し、纏う雰囲気は彼よりもずっと大人びて男性の色気を発する。
美少年だけど精神的な美青年。そんな不思議な男は、名をサソリという。
「くくっ、この俺が教えるんだ。たとえ砂の傀儡使いだろうがぁ、負けるはずねぇよ」
自信満々なサソリに向かって、腕を組んで静かにたたずんでいたオビトは告げた。
「彼女に傷一つつけるなよ」
「無理だろ」
即答したサソリは、悪くない。
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