05
一方その頃、スズはというと
「あら、貴女」
「大蛇丸…」
会いたくない人物に遭遇していた。
心の中で「ゲッ」と厭そうな聲を洩らす。
思わず本音と内心が逆になりかけた。
何でここに居るの?と叫びたい衝動を抑えつつ、スズは一歩後退しいつでも逃げられる体制を取る。いくら強くなったといえどもスズでは彼に勝てる気がしない。何か異変があればイタチさんたちがいると、何よりここで大声でも上げればオビトが飛んでくる絶対的自信があった。
そしてその自信が背筋が凍り付きそうな殺気を向けられてもスズが正気でいられる支えでもあった。
「ふぅん」
「……なんのようですか」
じろじろ見られて気持ち悪い。今のうちにオビトに助けを求めようか。遅れれば遅れるほどオビトの情緒不安定度が上がることは経験済みだ。
「そう警戒しなくていいわよ。貴女にも興味はあるけど、今私、サスケ君の方が欲しいの」
大蛇丸の口唇から蛇のような長い舌がチロチロと覗かせる。嗚呼、気持ち悪い。
「変態。イタチさん呼びますよ」
「
まだいたのあのブラコン?!!」
何やら吃驚しているようだが…ああ、そうか。
「【暁】でしたっけ、貴方がいたのは」
「…!?」
反応した。原作知識とオビトから教えてもらった組織の内情で知っていたことだけど。
「どこで知ったのかしら…イタチ?ではないわね。じゃあ最近貴方の家に住んでるっていう“トビ”ね」
したり。その顔を見てスズは大蛇丸がトビの正体がオビトだと気づいていたんだと悟る。ああ、厄介だ。オビトを呼べないじゃないか。
眉を顰め、又一歩後退する。流石伝説の三忍。虚勢を張っても御見通しか。
「じゃあ彼に伝え解いて頂戴。『ゼツが変な動きしてるわよ』って」
「…ッ?!!」
今度はスズが驚かされた。茫然と呟く。
「どうして…」
「フフッ……まぁ気まぐれよ。貴女をここで連れ去ってもいいけど、それじゃあトビの怒りを買いそうだしやめとくわ。中忍試験、ガンバってね」
あっさりと大蛇丸はその場を去った。その思いがけない言動に始終驚かされっぱなしだったスズは一寸ずつ、知っている現実と異なる今を身を持って知った。
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