おぼえていますか | ナノ
02


オビト視点


ああ、スズが、スズが俺と同じ班!しかも中忍選抜試験……思い出すのは俺とスズと先生と、あとカカシのいたあの頃。

遅れてきた俺に不機嫌そうなバカカシは置いといて、ちょっと怒っているスズが可愛かったなぁ。スズに良い所見せようと前に出て火遁を使おうとしたのに飴が咽に詰まったっけ。そんでガイに蹴り飛ばされたんだった。

次いで個人戦。俺とガイの対戦を上から応援してくれるスズにやる気に満ちているとまたまたガイに吹っ飛ばされていいところを見せそこなった。しかも俺に勝った癖にガイの奴はあろうことかカカシに敗北。スズの嬉しそうな笑顔は好きだがそれがカカシによって作り出されたものだと思うと可愛さ余って憎さ百倍。あ、そうか、なるほど。


「つまりガイが悪い」
「…トビ、行き成りしゃべるな」

…――俺のサスケの声が聞き取れないじゃないか。とキレるイタチ。

このブラコンが。俺とスズのおまけでしかない奴の事なんてすっかり忘れていた。まぁまぁと宥めるスズに「手、握ってくれ。そしたら安心できる」って伝えたら仕方ないなぁって感じでギュって握ってくれた。隣からの視線は気にしない。


ああスズの手ちっさい。柔らかい、女の子だ。絡めた指も細いし俺なんかの手よりも触り心地がいい。俺、手汗掻いてねぇよな?確かめたいけどそのためにはまずこの手を外さないといけないしそれだけは嫌だ。でもスズに汗掻いて汚いとか謂われたくないし…。俺は頭を抱えた。


「あ、あれガイの教え子だよ」
「ああ、彼らが……濃いな」


スズの声(イタチの声は無視)に反応して顔を上げればそこにはガイの息子じゃないのかと疑いたくなるほど色々とそっくりな餓鬼が1人。昔のカカシみたいなムカつく目をした餓鬼も1人。その対極な二人を繋げる昔のスズみたいな立場のお団子頭の少女(でもスズの方が今も昔も可愛い)が1人。

彼らがあのガイの教え子か。フッ…


「いいだろう。人の名前を憶えない奴に厭でも覚えさせてやる」

他でもないお前の可愛い生徒を完膚なきまでに叩きのめしてな。

今だけ精々気を抜いておけとほくそ笑んでいるとイタチが待ったをかけてきた。なんだ。


「今サスケに付けていた鳥分身から連絡があった。あのおかっぱ少年はサスケを傷物にしただから俺が泣かすお前は手を出すな」


ガイへの厭がらせで叩きのめされるのと、ブラコンの恨みを買って泣かされるのではどっちがマシなんだろうか。どちらにしろスズが何でか手で顔を覆ったので俺は頭を撫でて慰める方が重要だと、その思考を放棄した。



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