オビトが暁にいた頃の小話
まだオビトが暁にいた頃のお話
デイダラ視点
最近、後輩(トビ)の様子が可笑しい…。
「ん?…おいトビ。なんか落ちたぞ」
「え?…ッ?!返せ!!」
トビが何か落としたみたいだから親切心を利かせて拾ってやれば殺気立たれた。
この時はまだコイツの事を(うざいだけで)普通の後輩だと思っていたんだ、うん。
「なにそんなに慌ててんだよ…見られて困るものでも入れてるのか……って、」
目にも止まらない速さで奪い取られたが、オイラはもう見てしまった。トビに似てないから親族とは言い難い(そもそもトビの素顔を知らないから判断できないがなんとなくそう思った)し、恋人と言っていい年代じゃない。だって、
「……お前ロリコンだったのかよ」
知りたくもない後輩の性癖だった。
「やっだな〜〜!違いますよ!」
「いや、じゃあそれ誰だよ」
「お前に語るほどスズは安くない」
問い詰めればマジトーン(普段のムカつくハイテンションじゃない)で唯一見える穴から覗かせる赤い瞳が刃物のような鋭さに変わった。おいおい。
数日後…
「おい手拭い落としたぞ」
「は〜い!って、お前ごときが触れていいものじゃない!」
それには例の少女がプリントされていた。
「おい落としたぞ」
「ああスズ!!君をこんな屑どもが徘徊する汚い廊下に落としてしまうなんて…!!」
「……」
さめざめと(床に落ちた写真を前に)泣きだした。
「!……」(スタスタ)
見つけても放置することにした。
「先輩、俺、暁抜けるッス!」
「あ、そう。お前の部屋のグッズ、ちゃんと持っていけよ。うん」
「勿論ッス」
後輩が出ていくと聞いても止めもしなかった。
prev next