高校生になってもオビトはオビト
俺は前世で忍なんてものをやっていた高校生、うちはオビト。
幼馴染兼恋人のスズと遊園地へ遊びに行って、黒ずくめの男を追いかける同級生を目撃した。
同級生の工藤の背後から忍び寄っている長髪の男を視界に納めたが、今は一刻も早くスズが食べたがっていたソフトクリームを届けなければいけないと思い、あっさりその場を離れることにした。背後から怪しげな会話が聞こえたがどうでもいい。
席に戻ると天使みたいな笑顔で「ありがとう」をいうスズに感涙していると俺は背後から後頭部に衝撃を受けた。痛ぇ、誰だ!?
振り返った俺はその銀髪に舌打ちをもらす。
「ちっ。何しやがるバカカシ」
「舌打ちしたいのは俺の方なんだけど」
据わった目をした男は前世からの腐れ縁だ。断じてもう一人の幼馴染じゃない。俺の幼馴染はスズだけだ。
「あれ?カカシ、今日は用事あるっていってなかったっけ…オビトが」
脳内で幼少期のスズとのメモリアムを思い浮かべていたがしまった。スズには「カカシ急に用事あるって、今日来れないってよ」と伝えたがあれは嘘だ。俺が油断したカカシを気絶させたに過ぎない。真実は何時も一つしかないが、隠さなければいけないものがこの世にはごまんと存在する。
そう、例えば、
このままでは早朝にカカシ家に乗り込んでカカシを簀巻きにして捨てて来たことまでスズにバレル!そしてスズに嫌われる!
そうなったら死ねる。ついでに俺が不幸になってカカシが幸せな世界は許せないから道連れにしようそうしよう。
「なにが『そうしよう』だよ。いい加減にしろ、オビト」
あれ?俺の考えが読めるのか?
まさかスズとしたいと思っているあれこれもコイツに筒抜けってことは……
「お前ホントどーしよーもないね」
全部、口に出てるよ。
カカシの死刑宣告に似た言葉よりも「オビトなんて嫌い」と言ったスズの言葉に心臓が止まりかけた。
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