主人公視点
肩が凝った。俺も歳かな〜と暢気に温泉でも行くかぁとか考えていた時、ダンゾウ先生から緊急の呼び出しが来た。へ?
と、等々真面目に働けこのニートがァアアアア!と怒られるかとビクビクしつつ、里に帰還。いや、里はどこ?ここはどこ?
「なにこれ?」
辺り一面、崩壊。
ポカーンと突っ立っていると後ろから何か投げつけられた。ギャアアアア!!か、紙一重で避けたけど、あぶねぇ!
誰だこの野郎―!と勢いよく振り返ると、そこには
「……子ども?」
「………」
顔は女の子、服装は男の子。あらやだ可愛い…って、何だろう。非常に見覚えのある顔だ。まさか、と固まっている子どもの背後に周りこみ、背中を見る。あ、やっぱり。
「うちはの子か」
「…ッ!?」
子ども、後退する。え、そんなに俺のこと嫌?警戒している猫みたいな雰囲気に、ビビりな俺には珍しく口角が上がる。だってなんか微笑ましいし。
「お前に危害は加えん。上役に呼ばれて来たこの里出身の人間だ」
うん、嘘は言っていないぞ。里抜けしたけど、俺一応この里で生まれ育ったし。それにしても、この子は
「うちはイタチ君?」
「え!?」
なんで知ってるんですか、と茫然と呟く子どもに納得した。違和感の正体、それはこの子が似ているからだ。
「父上はフガク君だろう?俺と同期だ」
そして心の友である。
父親の知り合いと分かり、警戒心が緩んだ。うん、完全に消えてなくならない辺り彼があの『うちはイタチ』だと謂えよう。もしくは俺が余程不審者に見えやすいことを嘆くべきか。
兎に角俺はイタチ君の頭を軽く撫でた後、ダンゾウ先生の下へ急いだ。
俺の背中を食い入るように見つめるイタチ少年のことに気づかず。