ミナト&自来也視点



ミナト視点


「おめでとうミナト!」
「ありがとうクシナ」

やっと、やっと夢が叶う。

クシナが妊娠した、俺が火影に抜擢された。いいこと尽くしで正直不安もある、けど!


「これで兄さんを呼び戻せる」


やっと会えるよ、ユウ兄さん。


兄さんと一日でも離れることを嫌がっていた昔。理由が理由だけに我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して漸く、漸く兄さんと一緒にいられる日がすぐ傍まで来ている!ああなんて喜ばしいんだろうか。


「この子のこともその時に伝えないとね」
「そうだってばね!」


クシナの膨らんだお腹を撫でる。此処に俺の子がいる。兄さんにとっての甥か姪。意外と兄さん子ども好きだから可愛がってくれるだろうなぁ…でも俺も久しぶりに兄さんに甘えたいし、ずっと会えなかった分を補充したいし、会わせたいような会わせたくはないような。


「この子の名前、決めた?」
「ん!あのね、」



***


自来也視点


「ナルト、ほんとにそんな名前でいいのかのぉ」

愛弟子の子どもの名づけ親に、儂がなってもいいのかと訊ねれば満面の笑みで肯定された。

「はい!」
「だがの、どうせならお主の兄に付けてもらえばいいと思うぞ」


ミナトが火影になった今なら呼び戻すことも可能だろう。儂を含め、一部の上層部の人間は複雑な想いを抱えているが、賛成する人間の方が圧倒的に多いこともまた事実。

あの時何の役にもたたんかった儂が奴の甥の名づけ親になる資格はないだろうと、自嘲気味に肩を竦める。


「先生…でも兄さんが昔言っていたんです」
「……」

「“いずれ世界の救世主となる英雄が生まれる。その子は真っ直ぐ、自分の言葉を曲げない強く美しく生きる忍になる”と。兄さんはそれが何処の誰かなんていってなかったけど、あの時兄さんはそんな『英雄』を求めていた。兄さんが満足するような強い子になって欲しいと願う俺たちからしたら、先生の処女作を読んだ時の兄さんと俺が一番気に入っていた主人公の名前以外有り得ないんですよ」

「……なんじゃ、やっぱりユウ絡みか」

「フフ、だって俺、火影だけど俺にとって兄さんは里より重いですから!」

「知っとるわい。全く」


里より兄を取ると公言するミナトに説教なんざできない。それだけ価値のある人間なのだ、波風ユウという男は。


「ミナト、幸せにな」
「はい!」


弟子の幸福を祝ってやらんで何が師匠だ。


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