主人公視点





 俺、波風ユウ、6歳になりました。

 今年からアカデミー生です。ああ、厭だ。怖い怖い怖い怖い。しかも俺、才能がないらしい。だって苦無を投げたら消えるんだもん。なんか的が可笑しくなってるけど、肝心の苦無が刺さっていない。
前に数撃って当たれ作戦を実行したらぶん投げた五本全て消えた。

 この苦無はアカデミーの備品で紛失し過ぎたからだろう、俺は授業で的当てをさせてもらえなくなった。それにへこたれていたらほわほわした両親も流石にフォローのしようがないのか、苦笑を浮かべていた。


 テストは毎回満点しかとってないけど、これは元高校生としてスタート地点が違うのだ。伊達に死ぬ気で勉強していたわけじゃない。寧ろ平均以下だったら俺が可笑しい。
だからそこだけを褒められても嬉しくない。

 
 では組手はというと、これも苦無同様見学だ。先生に参加させてもらえない。苛めだろうこれ、って思ったけど組手の度に、どうでもいいところで転んだりビビり過ぎてピョンピョン飛び跳ねたりと逃げ腰だから仕方がない。

忍術は所詮アカデミーで教えられるのは基本だけだから出来て当然。でも実践訓練は見学。

授業の大半を不参加だった俺の成績が良いわけない。真ん中の平均。俺に見せたけどノーコメントだったのが辛いです。



「はぁ……ミナト、お前は俺のようになるなよ」

まあコイツなら大丈夫か。屹度俺は精々中忍止まり、下手すると下忍止まりで周囲から「あれが四代目の兄?」と後ろ指刺されるんだろうな。今更忍者になりたくないとは言えないし。


「ああ〜〜…ぅ、あ、にー…、にー!」

「え、」

「にー…う、に〜…」


 え、今コイツ「にー」って言った?兄って、うそ、マジで?
うわぁ、嬉しくて顔が赤くなる。ミナトは父さんに似てイケメンだからまだ一歳でも凄い可愛い。そうだよな、まだ先のことだよな。せめてお前に恥じない兄になろうと俺はこの世界で生きる覚悟を決めた。





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