カカシ&オビト視点
カカシ視点
ユウさん…俺はどうすればいいんですか。
「俺の目をやるよ」と左目を失った日に得た新しい力。
オビトがくれた写輪眼の上に巻かれた包帯をそっと撫でる。
「貴方がいなくなってから色々変わってしまいました」
ユウさんが里抜けした後、ミナト先生は死ぬほど努力した。今では里一番の忍びだ。ユウさんの託したものを守るように、誰よりも強くなった。
その点、俺はどうだ?
何が変わった?
――大切なものを、失ってばかりじゃないか。
「…カカシ?」
ああ、またミナト先生が心配そうな顔をしている。ユウさんと同じ、でも異なる青い瞳。その目が怖くて俺は逃げる様に彼を避ける。
そして、今度はリンを失った。いや、違う。
「俺が殺したんだ」
手から零れていく大切な人たちに心の中で涙を流した。
***
オビト視点
死んだと思った。カカシに片目を渡して、リンを守ってくれと頼んで。
でも俺は生きていた。いや、生かされた。他でもない、あのうちはマダラによって。
「興味深いな、その波風ユウという男」
マダラにユウさんのことを話せば予想以上に食いつかれた。前々から初代火影様について熱く語っていたから正直ホモなんじゃないかと疑っていたが、どうやらその線は否定できないかもしれない。
ブラコンのミナト先生が知れば烈火のごとく怒り狂うだろう。御免先生、俺のせいです。
「もし運命という不確かなものがあるとしたら、その男は随分と難易な星空の下に生まれ落ちたものだな。立ち塞がる壁を乗り越えるだけの力を持つがゆえに苦労する…世界に抗うことが出来る希少な人間だ」
相変わらずこの爺の言うことは意味わかんねぇ。本人にそれをいえば「莫迦が」と哂われるため、口を閉じたがそれさえも解っているのか小馬鹿にした笑みを向けられた。くそ!
里抜けしたなら、もしかしたら会えるかもしれない。マダラという珍しい餌を使えば、俺に注目してくれるかもしれない。そしたら後で思いっきしカカシに自慢できる。悔しがるだろうなぁ、アイツ。
そんな期待を抱きつつ、俺はリハビリに励んだ。が、しかし。
「リン……?」
現実は、無情だ。
リンを殺したカカシの姿が目に焼き付いて離れない。
それから俺は故郷ではなく、マダラの下へ帰った。月読計画、尾獣、雨隠れに残されたマダラの眼、奴の意志が籠められた人造人間(ゼツ)、そして、
「次は木の葉だ」
ユウさん、俺がこれからすることはあんたが守ったモノを否定する行為だから………俺を許さないでください。