主人公&長門視点




どうしてこうなった。


「弥彦、その人は…」
「……」


どうしてこうなった!(二回目)


弥彦君に見つかり、何故か連れてこられたのは暁のアジト。おい、俺他国の忍、それも抜け忍なんですけど見せてもいいの?


「この人はあの<赤い悪魔>だ」
「「……ッ?!」」


やめて!その恥ずかしい二つ名!ほらあの長門と小南の「コイツが?」って疑うような眼差し!俺だって分不相応なのは解ってるから!最初撤回しようとしたのに「面白いな」とかいって根の子たちを使って広めたダンゾウ先生が悪いんだぁあああ!


「初めまして」

行き成り殺しに掛からないでね。と友好的な態度で挨拶をする。うん、これで完璧!といいたいところだが二人の警戒レベルが跳ねあがった。おい、どういうことだってばよ。


「弥彦!離れて」
「いや、お前らこそ落ち着け。解るだろう?」


何やら痴話喧嘩のような雰囲気…しかし解るってなに?このダンゾウの七光り野郎を利用してやろうぜー的なものですか?(因みにそれは実際よくあった)いつもは根の子がどうにかしてくれたけど、今回はいない。つまり、自分ひとりで如何にかしなくてはいけないということだ。

目の前の三人を見据える。

ふ、嘗められたものだな。そちらがその気ならこちらも、


「やめておけ。無駄だ」

って、抵抗するわけない。好きに使ってください。


***


長門視点


「やめておけ。無駄だ」

お前たちには俺は倒せない、彼はそう目で語っていた。淡々とした口調には慣れのようなものが感じられる。彼ほどの実力者には敵う者なんかいるのだろうか。いや、いないからこそ彼は毎回この科白を云ってきたのだろう。

それほどまでに圧倒的実力差があった。例え俺のこの両目の力を使ったとしても勝てる見込みは……ゼロ。


昔、自来也先生が云っていた。この世界の未来を誰よりも見据えているのはこの<赤い悪魔>だと。先生でさえ恐れるほどの実力者を前にし、俺は今何を感じている?

恐怖か、絶望か、それとも歓喜か。

化け物じみた威圧感もここまでくれば逆に一種のカリスマ性に変わるのだろうか。惹かれる、まるで燃え盛る炎の波だと解っているのにその中心に鎮座する宝物を得ようとするかのように…。

身を焦がすような欲求。この男の核に触れてみたいという浅はかな想い。そこまで考えてから俺は頭を振る。そんな馬鹿な考えを振り払う様に。


駄目だ、これは危険な生き物だ。
人間が触れていいものではない。


その時その男と俺の視線が交差した。何かを訴えるかのような眼差し。その青い瞳に籠められた忠告に気づいていれば、俺は、俺たちはあんなことにはならなかっただろう。



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