主人公視点




抜け忍生活数か月目。俺は今久しぶりに外出している。ダンゾウ先生への報告のために砂隠れの知人宅を訪れたのだが、


「ユウもっと構え」

ムスッと口を尖らせた赤髪の美少年を膝に乗せている。
この少年、名をサソリという。


そうサソリ。赤髪+砂隠れの人間+カカシより年上+非常に見覚えのある顔のサソリ君だ。

俺の手を(無理やり)自身の頭にのせ撫でるように命令する小さな王様は、俺が細心の注意を払って丁寧に撫でる手つきに満足したのかフンと鼻を鳴らした。

「名を呼べ」
「サソリ」

「もっとしっかり抱きしめろ」
「ああ」

「ユウ」
「……」


誰か助けて!!
実はこのサソリ君とは結構長い付き合いなのだが、昔はもっとこう、ミナトやカカシ君みたいに純粋で可愛らしい子どもだった。「泊まっていくんですか!なら今日はいっしょに寝てくださいね!」ときゅるんと瞳を輝かせる美少年だったのだ。

ちょっと俺が触れただけど「うぅ/////は、はずかしい」と耳まで紅潮させて両手で顔を覆いつつ、偶に指の間から上目遣いにこちらの様子を窺うあざとさまで無意識で習得している子どもが……


―― なぁユウ。いい加減俺にお前の全てを寄こせ
―― お前になら全てを見せてやる
―― んっ、ほら、舌を出せ


現在俺を押し倒し、寝間着を脱ぎ、濃厚なキスを繰り返す。俺みたいな男に手を出すのは現代でなら中学生ほどの年齢だからか。若いな。だがおっさん押し倒して何が楽しいの?お前ならもっと綺麗なお姉さんたちに諸手を挙げて相手してもらえるでしょ?


毎回押し倒される度に「もっと自分を大切にしろ。それに俺にはその気はない」と断っているんだが懲りない。ついつい溜息をつけば怯えた様に肩を震わせ大粒の涙を零す始末。


「ユウ!ユウ!」

き、嫌わないで……。
か細い聲でそう懇願されれば俺が悪いみたいじゃん。仕方なく「嫌うわけがない」と慰めてしまう俺は甘いのだろうか。


但し俺の腹に顔を埋めているサソリの口端がつりあがったことに気づくことはなかった。


***

確信犯サソリは小悪魔モードで主人公に迫ります。



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