母親視点
母親視点
私には可愛い息子が二人います。この間生まれたミナトは私譲りの金髪蒼眼で夫によく似ているけど、長男でいずれ波風一族を継ぐユウは主人譲りの赤毛に私やミナトより濃い蒼い目、今はまだやや女顔なので近所の人にはいまだに女の子と勘違いされている。
ユウはとても賢い子どもです。一族の皆も「これで一族は安泰だ」と笑っていますが、いずれあの子が全てを背負って苦しむかもしれない気がしてなりません。主人と調子に乗ってあれこれ教えましたが、その全てを完璧に熟す息子は間違いなく天才、いや鬼才児でしょう。
だけど周囲があの子に期待よりも畏怖することになったとしても、私は母親としてあの子を信じたい。だってあの子はとても優しい子なんだと知っているから…
「ミナト、どうしたの……」
「ひっく、ふっ、あぁ、ぁあああん」
毎日泣いてばかりの次男のミナト。ユウはまだ五歳にも関わらず上忍レベルの暗号で書かれた巻物を読み解くほど聡く、今日も勉学に励んでます。邪魔にならないように必死で泣き止ませようとしますが、いつも間に合わない。音もなくそっと開かれた襖の前にはユウが佇んでいた。
母親でも目を惹く美貌を持って生まれたユウはそっと、私を呼んだ。
「母さん・・・」
「あら、勉強はいいの?ユウ」
コクンと頷き、ミナトに視線を向ける。再び私に視線を向け、貸してと無言で訴えてくるので渡せばあっという間にミナトは泣き止み、嬉しそうに笑いだした。
「ふっ、あ、ああ!」
「……、」
「やっぱりユウじゃないと嫌なのね。」
ミナトを抱きかかえるユウは私たちにも滅多に見せない笑顔だ。それを羨ましく思う。
「ミナト、泣くな。男の子だろう」
「ぅう〜〜・・・あい!」
コツンと額を寄せ合う二人に身悶えていると、ユウの世話係を任せている爺無言でシャッターを押した。それ後で焼き増しして下さい。