主人公視点
「よう…無事かビビり君」
だ、大丈夫じゃないってばよォオオオオ!!
ビビり君だもん!俺超怖かった!敵の殺意むき出しのナイフみたいなギラギラした目とかもうトラウマだよ!
ピンチに現れるヒーロー・・・ああもうフガク君イケメン!大好き!
「フガク君……どうして」
どうしてこんなにイケメン何ですか?いまだ彼女ゼロの俺の将来のために教えて下さい。
「フッ、決まってるだろう。お前を殺させねぇ……………………――オレ以外にはな」
え、え、え、ええええええええええ?!!!
ちょ、俺今イケメンの秘訣を聞いたんだけど?なんでどっちが俺を殺すで二人とも睨み合ってるの?え、前門の虎後門の狼ですか?俺ひょっとして仲間(木の葉)からも嫌われるの?
フガク君だけは違うって信じてたのに!
なんて俺が一人縮こまっている間に水影は去ったらしい。フガク君とじゃ分が悪いとかなんとか。そりゃああのうちはフガクですからね!名前負けの俺とは違いますよーだ!
「おい何してる…いくぞ」
逝くってどっち?地獄ですか天国ですか?
フッ、友だと思っていたのは俺だけなんだね。
「ああ」
いいよ。一思いに殺ってくれ。
………いつまでも痛みがない。あれ?
「帰るぞ、ユウ」
あ、俺の勘違いだったのか。ほら、と手を差し伸べるフガク君のさっきまでのあれは全部ツンデレのツンだったんですね。紛らわしいけどフガクくんらしい。
俺はその手を取って里に帰還した。
(あ、やべ。任務終わってねーや)
***
「よう…無事かビビり君」
俺がそう云ったとき、ユウの口唇の端が上がった。俺のチャクラを察知していたらしい。吃驚している水影より、やはりユウは強い。
「フガク君……どうして」
上層部の魂胆に気づいていたんだろう。どうして俺が来たのかと尋ねてきた。
どうしてだと?
「フッ、決まってるだろう。お前を殺させねぇ………………――オレ以外にはな」
お前がこんな奴に負けるはずがない。そう意味を籠めて水影を睨む。相手も俺の意図が分かったのか、さっきよりも殺気が強まった。
無駄だ。お前にはユウは倒せない。そして俺にも、な。
写輪眼を開く。尾獣をコントロールしているとはいえ、俺はあの九尾を操ったといううちはマダラの血族だ。万華鏡写輪眼こそ開眼していないが、写輪眼でも十分威力を発揮する。
俺とユウ、二人を同時に相手にすることが不利だと察した水影が苦悶の表情のまま、この場を去った。
それにホッと一息つくが、急いでここから離れないと敵の増援が襲ってくる。
「おい何してる…いくぞ」
「ああ」
ユウはそういって何かに耐えるよう、虚空を見つめた。その瞳を覗きこんだことを後悔する。ぞっとするような虚無の瞳だった。恐らく里と自分の事を考えているのだろう。強すぎる力はいずれ孤立する。本人の意志なんて関係ない。人は異物に対し、恐ろしく冷たい目をするのだ。
「帰るぞ、ユウ」
だけど俺はあいつにとって残酷なことを云うしかない。お前を苦しませる里にいろと。
今だけは、まだ俺と一緒に里にいてくれと請うてしまう。
(いずれお前が里から離れると、解っていても…)