主人公視点
皆さん、覚えているだろうか?俺が中忍試験で戦った水遁使いを。
「……久方ぶりだな。<赤い悪魔>の波風ユウ」
俺は全く覚えていませんでした。
長期任務が言い渡された俺。水の国の霧隠れの里付近だと云われ、え〜やだなぁ〜と内心不満たらたらだがビビりの俺はそんなこと言えない。
なんか国内だろうと国外だろうと私生活・任務問わず儂に報告しろと仰せのダンゾウ先生に水の国行ってきますと報告したのが昨日のこと。
そして今日、水の国の国境付近に入った瞬間「水遁・水龍弾!」とか聞こえ、同時に水の龍うが俺に襲い掛かった。
何とか紙一重で躱し、木の上に危なげに着地する。そして冒頭の科白である。
「あの中忍選抜試験でお前に負けたこと・・・昨日のことのように覚えてるぜ」
そこまで言われて俺は敵の正体を思い出した。あの後フガク君たちに技について散々説明を求められたんだっけ。目の前にいる彼はあの頃と全く外見的には変わっていない…ってあれ?
「子ども?」
「なっ!?違う!!俺は大人だ!それに見ろ!」
バン!とこれ見よがしに突き付けられたのは、五影しか被ることを許されない笠。
三代目火影なら『火』が書かれた布があるところが、その笠には『水』の文字。えっ、まさか……。
「フン!お前に敗北したあの日からもう一度自分を鍛え直し、俺は水影になった」
…――だから感謝するぜ、と。
目の前が真っ黒になる。だってそうだろう、確か今の水影は四代目。そして俺の記憶によれば四代目水影ってうちはマダラに操られるとか三尾をコントロールしているとか……嫌アアアアアア!!!!
あわわわ…だ、誰か助けて……。
「死ねぇぇ!波風ユウ!」
あ、俺、終わった…。
その時、黒い影が現れた。