カカシ視点






 俺はミナト先生が羨ましいと思っている。
カカシが師としても、男としても慕っているユウ。だが自分にはなくて、ミナトにはある強固な兄弟の絆に嫉妬した。



 父親の死から段々とカカシの中で育ってきた想い…カカシを唯の弟子としか見ていないユウの負担にならないように隠さなければいけなかった。……いや、違う、カカシの恋情を知った時にユウに捨てられないように自ら距離を取ったのだ。

ちょうどよかった。ミナト班に配属された時、三代目からユウに長期任務を言い渡したいと云われ、言外に弱い自分は邪魔なんだと気づけた。あの人に邪魔だと直接言われる前に離れようと、そしてできれば自分のことを忘れないでほしいと態と嫌な態度をとってまで。


(なのにあの人はそんな俺の醜い心を見抜いていた)



仕方なさそうな顔をしたユウに臆した。なんで、貴方がそんな顔をするんだと今にも叫び出しそうな自分を諌める。



「お前は……お前は正しいよ。俺なんかにこれ以上関わる必要はない」



俺の気持ちを知って、未練がましい俺にそんな残酷なことを云って苦しまなくていいようにしてくれた。それでも俺は貴方の口からそんな言葉聞きたくなかったです。

きっと今はすごく情けない顔をしてる。それでも俺より痛苦を感じているのはユウさんなんだと想像できるくらい、悲しそうな瞳をしていた。


「師匠…」

貴方は、

「カカシ……仲間は大切にしろよ」



やっぱりユウさんは俺よりも凄く、そして悲しい忍者だった。







 あれだけ頻繁に会っていた(寧ろユウさんに甘えて一緒に住んでた)ユウさんと距離を取ったが、そんな日々は灰色の世界でしかない。距離をとっても、偶然遭遇した時ユウさんは声をかけてくれる。それだけが救いだ。

それからしばらくしてミナト先生がオビトとリンにもユウさんを紹介したいと云った。
勿論俺は猛反対したが、ミナト先生が俺の意見を聞くわけがない。

それにあの人、自分がいない間、俺とユウさんが二人っきりの時に邪魔してくれるだろう要因(オビト)を態と増やしやがった。


確かにユウさんと距離を置き始めたが、会う頻度が減ったくらいで全くなしというわけではない。寧ろそうなったら俺が耐えられない。

先生の思惑通りにオビトたちはユウさんに魅かれた。俺がユウさんと談笑していると俺に向けられる敵意丸出しの視線……その視線の主はオビトだった。

だから俺は態とオビトたちに見せつける様にユウさんの腕を組んだ。



(お前にユウさんは渡さなーいよ)

(黙れバカカシ!)

(カカシいいなぁ…)





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