主人公視点
とうとうやってきた……俺がミナトの兄だと認識したときから恐れていたことが!
「はじめまして…のはらリンです」
「俺はうちはオビト!」
ヒィィィィィ!!!
オビトが来たァァアアアア!!
え、今はまだ唯の純粋な子どもだから怯えるの可笑しいって?
フッ、違うな。見ろ、あの目を。俺のリンに近づく屑が!って目をしてるよ。クシナちゃんに話しかけたときのミナトみたいな目をしている……それにカカシの冷たい視線にも胃が痛い。
月日の流れは早いなぁ。ミナト班が出来上がり、俺は早くもお役目御免とカカシの先生役から外された。勘違いじゃないよ、だってカカシ本人から「もう師匠のこと師匠って呼びません」って言われたから。お前なんて要らないんだよって言われたも同然さ…アハハ。
あの日は一晩中ヤケ酒してたなぁ…フガク君にも付き合わせて悪い事したよ、だって今奥さんのミコトちゃん妊娠しているからね。お腹がぽっこり膨れててそれを見るフガク君の目が優しい事……っくそオオオオ独身の俺へのあてつけかよ!でも俺にも優しいフガク君マジイケメン。よく覚えていないけど、酔っぱらった俺を迎えに来たのはダンゾウ先生の使いの子(根の暗部)だったらしい。流石ダンゾウ先生!気が利いてる!
さてそろそろ現実と向き直ろう。いつまでも無言だとただでさえ底辺の俺の印象が悪くなる。
「ああ、はじめまして。波風ユウだ」
普通ならここで役職とか階級も謂うんだけど、俺はダンゾウ先生の御情けで貰ったものだから他の皆みたいに誇れないしね。だから言わない。
怪訝な表情のオビト君。ああ、怖い。
だが俺は有効的な態度を取らないぞ!
だってオビトって、世界はリンちゃんを中心に回っているって奴でしょ?世話になったミナトもクシナも殺すし、親友のカカシだってどうでもいいって放置でしょ?超怖い。
つまり親しくなれば将来的に苦労する……主に俺が。
最初からモブの立ち位置なら未来で気にも止められないだろうが、ミナトの兄という時点でそれは終わっている。なら奴の琴線に引っ掛からないように、なるべく距離をとって……目指せ未来で「ああ、……そんな奴いたな」って言われるレベルにしよう!!
さりげなくオビトから離れる。
背中に突き刺さる視線に気づいてませんよ〜俺は石ころですよ〜と自身に暗示をかけた。