カカシ視点
カカシ視点
俺の師匠はカッコいい。俺の父さんの友達で俺も物心つく前からよく面倒みてもらっていたらしい。家にあるアルバムに写っている師匠、もといユウさんは今と全く変わっていないけど。変わらずカッコいいけど。
前に雑誌に書いてあった「あざとく!気になるあの人を落とす十の秘訣」ってものを試して同期には見せられない餓鬼っぽい態度をとってる。「お師匠さま」とか「ししょー」とか呼びながら腰に抱き付くのも忘れない。あ、ユウさん腰細い。いい匂い。抱き付いたついでに深く息を吸って匂いを嗅ぐ。お腹に顔を押し付けぐりぐりする。ああ幸せ。
でも俺には天敵も存在する。それはユウさんを手に入れるには決して避けては通れない高い高い壁。その名も、
「やあ、カカシ。久しぶりだね」
「こんにちはミナト先生」
ユウさんの実弟・波風ミナト。優秀な上忍らしく、性格も穏やかで男らしいユウさんとは異なる優しげな風貌の持ち主。ユウさんが忙しいときは俺の面倒を見てくれるから「ミナト先生」って呼んでるけど彼は俺の天敵である。
「また俺の兄さんと修行かい?」
「はい俺のユウ師匠が態々休みの日まで付き合ってくれるんですよ」
余裕の笑みを浮かべてそう返せば、笑顔のまま器用にも額に青筋をたてるミナト先生。そのまま俺たちの間で見えない火花が激しく散る。偶然通りかかった三代目様が重いため息を吐き捨て止めるまでこのやり取りは続いた。