主人公視点




 更に数年の歳月を経て、俺は上忍師になった。はいそこ、俺じゃ力不足とかいわない。だって俺も自覚している。もしあの第七班の波の国任務のような状況に陥っても俺は生徒に助けてもらわないと真っ先に死ぬほど弱いのだから今更ながらに上忍とか名前だけである。


 でもそんな俺でもなんとかやっていけるのは、全て部下が本来なら三人いるはずが一人、しかもあのカカシ君であったからである。5歳でアカデミー卒業とか冗談でしょ?ってレベルの天才は、父親の友人だからか、俺みたいな弱虫も見下したりしないし、逆に可愛い声で「お師匠さま」って呼んでくれる。でも慣れてきたのか、俺に敬う価値もないと気づいたのか、最近じゃあ「ししょー」って間延びした呼び方も多い。ああ、時の流れは残酷だ。

心の中でずっと「カカシ先生」って呼んでたけど、最近じゃカカシ君と呼んでいるのはうっかり先生って呼びかけた前科があるからである。

でもサクモくんに「うちの子、宜しくネ」ってお願いされて寧ろこちらこそよろしくお願いしますと頭を下げたのも、いい思い出だ。




 この数年の間に我が弟、ミナトも上忍に就任し、俺よりも大活躍中である。火影への道も近いな!さすがミナト!
ところでカカシ君とミナトは何故か初対面時から非常に仲が悪い。あれ〜?って首を傾げてしまったのは、俺の知っている原作ではカカシ君はミナトを慕っていたように見えたからか。いや、まだミナトが上忍師じゃないからだろう。俺と違って、母親似の女顔なミナトはなよなよした優男だと勘違いされやすいし。俺としたらミナトと比較され、いつかカカシ君に「なんで俺の先生は最初からミナト先生じゃなかったんだろう」とか云われそうで怖い。

 今は純粋に慕ってくれるカカシ君に請われて術を教えているが、はっきりいってどれも上忍レベルの術なのに、いとも簡単に習得してくるカカシ君の才能がミナト同様恐ろしい。

教えるにあたって、前日に習いたいことを聞き出し、翌日まで死にもの狂いで勉強している。そのため上忍師になってから俺の目は充血したままが多い。睡眠不足でよく話しかけられても聞き逃しがちだ。ダンゾウ先生にも注意力散漫だと怒られそうなので、最近は根に顔を出していない。


 あ、でもカカシに教えている術はダンゾウ先生から昔貰った巻物だけど。口寄せ契約は、俺と同じ奴にしようかサクモ君と同じのにしようかで迷ったが、本人たっての希望で俺と同じ忍犬になった。


「名前は決まったか?」
「うん。ししょーの持ってるのが『パックン』」
「(これがあのパックン!)」


一人感動していると、次々と子犬たちに名前を決めていくカカシは、最後にはたけ家の家紋「へのへのもへじ」入りのスカーフを付けていた。って、あり?

「カカシ?」


これはどういうことですかい?
俺にもスカーフが巻かれた。パックンたちに巻かれたのはサクモ君の手製なのに対してこれはカカシの字である。


「うん。だってししょーは俺のデショ?」
「ん?」



ん?どーいうことだってばよ?







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