主人公視点






ユウ10歳、ミナト5歳。

なんとかまだ生きてます。そして上忍になりました。


 正直ダンゾウ先生がゴリ押したともいえる異例の出世。だからだろう、世間の人の目が冷たい気がする。後ろ指さされても、その指を折ってやる気概はチキンな俺にはない。

毎日紐なしバンジーに挑戦させられている心もちに、未だに「兄さん」と慕ってくれるミナトだけが救いだ。


 相も変わらず、寧ろ正式に上忍になったからだろうか、手渡される鬼畜任務の数々。暗部でやりそうなSランク任務を三本も手渡され、一週間で終わらせろとか、火影様あんたそれでも人間か。いつしか三代目もノリノリで俺に無茶ブリ任務を言い渡すようになった。ああ、神なんていない。

任務行って、報告して、任務行って、ダンゾウ先生とお茶して、任務行って……ってあれ?途中なんかおかしいような。兎に角俺は10歳とは言えないくらい、老けた。顔に皺があるとか、髪の毛が白髪になったとかでもない。因みにこの赤い髪は返り血がついても解りにくいから余計に怖いとか云われて「赤の悪魔」とか呼ばれている。
なにその二つ名。どうせなら「風の悪魔」とか、某戦国ゲームの風魔さんみたいのがよかった。


 でもほんと、見た目だけならちょっと風魔小太郎に似ている。いや、あの人の顔は解んないけどさ。この世界の子どもは成長が速いため、10歳ですでに身長170センチ以上とか可笑しすぎる。しかもまだまだ俺成長期だから伸びる。将来的に180センチいきそう。ちょっと嬉しいかも。

どうせ風魔小太郎っぽいなら、諜報任務とかで顔を隠す際、それっぽい仮面を手作りしようとして挫折し、それらしい言い訳を重ねてダンゾウ先生におねだりして作ってもらったものを使っている。やべぇ、これ付けただけでちょっと強くなった気がする。ついつい調子に乗ってしまうのは前世から続く、俺の悪い癖だ。

すっかり俺の十八番となったあのグラグラの実もどきの土遁に合わせて、武器も身の丈以上の薙刀にした。白ひげっぽさを演出できるのはこれくらいしかない。

元チームメイトがバリバリの近距離型だからこそ、あえて俺は中・遠距離型になったのだ。っていうか怖くて近づきたくない。


 最近父さんの薦めで、火影直属の暗部にならないかと云われたが……冗談じゃない!そんなことしたらダンゾウ先生に殺される。なんか最近解ってきたけど、あの人ツンデレだ。人前だとツンしか出てこないけど、二人っきりのときはデレデレで、よく珍しいものをくれる。しかも危ないものもある。そのため、俺の部屋には父さんたちには内緒でつくった隠し扉に、もらった「禁」と書かれた巻物が積んであったりする。

 実はフガク君が一緒に警務部隊に入らないかと誘ってくれた。確かに9割うちは一族が所属しているとはいえ、残り1割は里の忍だ。俺がその一割になっても、問題はないだろう。

だが将来を考えるとどうしても入りたくない。だって警務部隊ってイタチに粛清されるよね?うちはじゃなくとも、関係者扱いされるかもしれない。いくら身内認定して甘やかしてるとはいえ、ダンゾウ先生もそこまで甘くはない。俺も殺せというだろう。

やっぱりこのまま大人しく上忍して、ミナトが火影になるのを待つかなぁ。


・・・なんて、のんびり構えていた罰だろうか?
戦争がはじまり、当然のことながら俺も駆り出されるのである。





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