主人公&ミナト視点





 ん〜久しぶりの休日です!
 ここ最近任務任務で疲れたぁ〜今日は一日中ゴロゴロするぜ!


 我が家でのんびりしていたら、3歳になったミナトがチマチマと小さな足を一生懸命動かして駆け寄ってきた。可愛い!

「にーしゃん!」


あそぼう!って母さんにそっくりな女顔をへにゃりと綻ばせるミナトの可愛いこと。うちの弟マジ天使!

「ああ、勿論だとも」


 いずれ「兄さんだせー」って俺のチキン加減に呆れられて、嫌われるかもしれないし。こんなに純粋に慕ってくれるのも今だけだと思うと、余計にべたべたに甘やかしたくなる。

何をして遊ぶ?って聞いたら「にんじゃごっこー」って返された。
うん、お兄ちゃんもう忍者だよ。休みまで忍者やらないといけないのか、とほほ。


 玩具の手裏剣を投げられ、うわぁ!やられたーって倒れた振りをしたら「にーさん!」って顔を真っ青にして駆けつけ、「しんじゃいやー!」と叫ぶわ泣くわ。赤ん坊時代の怪獣ミナトの再来だ。急いで上体を起こし、抱きしめると、俺の胸元に顔を埋めてきた。

ビービー泣くこの泣き虫が将来あの綺羅綺羅オーラを発するイケメン火影になるかと思うと、こう、胸に湧き上がる感動みたいのがある。


 そう、こんな小さくて泣き虫がだ。その時俺は少しでも必要とされる兄としていられるのか。
何だか少し寂しく感じていると、腕の中が静かなのに気付いて視線を落とすと小さな寝息が聞こえる。


「泣き疲れたのか」


思わず気が抜ける。すぅすぅ、目元は赤いが寝ているミナトに苦笑してベッドに寝かせた。
ついでに俺も寝転がる。服を握って離さないミナトに、起こさないよう小さな聲で俺は囁いた。

「お前と俺は唯一無二の兄弟だ。
お前の越えるべき壁としてオレはお前と共に在り続けるさ
たとえ憎まれようともな…それが兄貴ってものだ」

一度云ってみたかったからである。



***




ミナト視点


 ぼくのにーさんはつよい!
おとうさんも、おかあさんも、いちぞくのみんながそういってた!
まえにみたけど、くないとか、まとにあたらないことないもん!いつかぼくもにーさんみたいなすごいしのびになりたい。

 でもぼくはにーさんはつよいけど、とってもやさしいってこともしってる!
たまににーさんがむひょーじょーでこわいっていう子がいるけど、ぼくのまえではよくわらってくれる。

あそんでって、にーさんはつかれてるからじゃましちゃだめよ?っておかあさんにいわれたけど、お願いしたらにーさんはもんくひとつ云わずにあそんでくれた。

にんじゃごっこして、にーさんがたおれた。びっくりしておもわず目からなみだがこぼれてきたけど、にーさんがギュってしてくれたからうれしくて、すぐとまった。
いつまでもないてたらにーさんにあきれられちゃうしね!

でももっとギュッとしててほしかったから、ねたふりをしてひっついているとき、にーさんがいった。


「泣き疲れたのか」

おもわず服をにぎる手にちからがはいる。

ぼくのおみみににーさんのいきがあたってくすぐったい。

そのあとにーさんがいったことばは、よくわからなかったけど、すごくすごくだいじなことだとちょっかんしたから、ぼくはわすれないぞってこころにきめた。


「お前と俺は唯一無二の兄弟だ。
お前の越えるべき壁としてオレはお前と共に在り続けるさ
たとえ憎まれようともな…それが兄貴ってものだ」


おおきくなったら、このときにーさんがいってたこと、わかるかな?




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