主人公&ダンゾウ視点




 中忍になってから、元チームメイトとはバラバラになった。偶にフガク君がやってきて修行の相手をしろとせがむが、俺は死にたくない。断固拒否だ。

 だがチームメイトよりもダンゾウ先生に呼び出される率が高い。っていうか三日に一度は呼ばれる。内心ヒィィィィィ!と悲鳴を上げるが、目の前でお茶を啜っている先生は悪代官も真っ青な顔で、いかにも何か企んでそうな笑みを浮かべ、俺にその日の任務状況を尋ねる。


 そして次の日、受付所に行くと何故か三代目の隣にいるはずもないダンゾウ先生の姿が……。不幸にも、俺の前に入室した先輩はそのたった数分のやり取りで一気に老け込んでしまった。ゴクリ。お、俺も何を云われるんだろうか。

ダンゾウ先生は何も言わない。対して三代目は大きく溜息を吐き、俺にAランク任務を言い渡す。あの、俺まだ中忍なんですが…。

上忍レベル、時には暗部がやってそうな黒い任務を言い渡される俺って。これはつまり俺に死ねということですか先生。お前なんて儂の教え子に相応しくない!って任務に乗じて始末する算段ですか?

心の中でシクシク泣きながら当然文句何ていえないビビりな俺は、大人しく退室し、任務に向かい、死ぬ気で生き残るのだった。



***


ダンゾウ視点


「よいのか、これで」

「ああ。アヤツなら熟せるだろう」


 フフと笑いが止まらない儂を見てヒルゼンが大きく溜息を吐く。
数多の教え子の中でも一番のお気に入りといってもいい、波風ユウは8歳で中忍になったが、すでにその実力は上忍以上だ。本来補助系統の術が多い土性質しか持たなかったときは驚いたが、その欠点を逆に利用した戦術や他の性質を組み合わせて新たな術を開発するなど、師として鼻が高い。

 ヒルゼンの教え子の三人にも劣らぬ……いや、それどころか近い将来奴らよりも素晴らしい、まさに儂の理想の忍びに成長するだろう。


 そんなユウにヒルゼンは弟子を抜かされたくないのか、中忍としては適切だが、ユウの実力には不充分なランクの任務しか与えていない。これは逐一ユウの情報を仕入れ、本人にも確認したから間違いない。

 子どもがいない儂にとって、最早ユウは我が子同然の期待を抱かせる。波風一族にはユウの年の離れた弟がいるそうだし、機会を見てユウを儂の養子にする計画を水面下で進めている。フフフ、いずれユウも志村ユウとなり、根をつぎ、木の葉をより発展させてくれるだろう。


 無理矢理同席した受付所で、ヒルゼンに視線で牽制する。ユウじゃなくても出来る程度の低い任務を渡さないように。

渋々とヒルゼンがユウに渡したのは、Aランク任務。っち。まぁSランクは流石にまだ早いだろう。出来ないことは無いだろうが、どれだけ優秀で忍としての精神も出来上がっているとはいえ、ユウもまだ子ども、致し方ない。先を急いで事を成せないとあっては、それこそ問題だ。

手渡された時、一瞬吃驚し目を見開いたユウだが、すぐさま顔を引き締め、真っ直ぐ儂らを見据えた。その眼光の強さに感嘆の聲が聞こえる。ふふ、どうだ、これが儂の一番弟子だ!



上機嫌な儂をみて、渋い顔を浮かべるヒルゼンはそれ以上何も言わなかった。







prev  next
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -