主人公視点





 まず、報告です。
 俺、中忍になりました。


 速いって?いやだって俺の班員、あのうちはフガクだよ?担当上忍ダンゾウだよ?

 あの二人がチマチマDランク任務を熟すわけがない。寧ろフガク君よりダンゾウ先生が先にキレた。任務を言い渡す三代目に向かって、凄いキレた。


「だから貴様のそういう甘い所が他国に付け込まれるんだ!」

「お前は過激すぎるぞ!」


 仕舞いにはヒートアップし過ぎたのか昔のくだらない喧嘩まで引き出す始末。途中で咳払いして誤魔化してたけど、俺たちバッチリ聞いたからね。


 まあそれで8歳で中忍選抜試験の受験資格を満たしていたので強制的に参加しました。
今はまだ戦争が終戦しているため、他国からの受験者も多い。一次、二次試験はチーム戦だったから俺は兎に角邪魔しないように努力した。もうフガク君は勿論だけど、もう一人のチームメイトの日向ヒカゲくんも最初ドベだったのに、今ではダンゾウ先生に扱かれて強くなったから頼りになる。ふ、成長しないのは俺だけなのね。先生もよく溜息はくし、呆れられてるんだよ、どーせ。

 三次試験はいつの時代も変わらないらしい。原作の中忍試験と同じ、一対一のトーナメント方式だ。


 が、俺は運が良いことに初戦は不戦勝。人数が微妙でラッキーって感じ。喜びで顔が緩んだが、周囲から睨まれてすぐに引き締まった。

 でも俺にとっての初戦で、相手にとっての二戦目。またまた運が良いことに、相手は前の試合でチャクラを使い果たしたのか、攻撃してこない。得意とする土遁で首から下を埋めた。ほら、あのカカシが鈴取りでサスケにしたやつ。


 そして三戦目、霧隠れの水遁使いが相手。チャクラ性質の優劣関係から、俺が有利と思いきや、敵は前戦の相手よりも強い。すでに降参したかったが、背後から突き刺さる味方(?)の「降参するんじゃねぇよ」的な視線にビビッて腕が上がらなかった。
まぁ自里の人間以外に負けるなんて、あとでダンゾウ先生に殺されるし。あの人木の葉大好き過ぎて怖い。案の定というか、うちはも時々見下してて、フガク君と仲悪いから俺のチキンハートはいつも震えているぜ。


 考え事している暇も与えない怒涛の攻撃に、俺はすぐさま後退した。磨きに磨き上げた瞬身は、ヒカゲ君に「黄色い閃光みたいだな!」と謂われ、思わず「それ俺の弟!」と叫んでしまったのはいい思い出だ。


 俺のチャクラ性質はナルトやサスケのように派手な術が多い風でも火でも雷でもない。治療にも使える水でもない。補助技が多い、土性質。

だがこの世界で生き残るために、オリジナルの術を開発したのだ!

苦無も届かない距離に、敵は怪訝な顔をする。
だがここまで離れた時点で、俺の勝ちは決まっている。


「土遁・衝撃波!」


 危険を察したのか、敵は水で結界を張り、身を守ろうとするがそんなもの、この術の前では無意味。空間に衝撃波を発生させ、地震を引き起こすこの術は、OPの白ひげの悪魔の実の能力を思い出していただければ解るだろう。「世界を滅ぼす力」とまで云われる破壊力抜群、超人系悪魔の実シリーズ最強を誇る力を再現するために俺は寝る間も惜しんで勉強した。

 衝撃波を創る段階で必要なのは風性質と一種の時空間忍術であるが、当然俺には風の性質がない。が、世の中にはその性質が無くとも、巻物を開いてチャクラを練れば使えるという解決策がある。そして相手の油断を誘うため、巻物ではなく、サスケが武器の口寄せ術式の入れ墨を腕に彫っていたのを思いだし、俺は半泣きになりながらもそれを成し得たのだ。

 何だかんだで教え子は可愛いのか、術の開発にダンゾウ先生は協力的だった。明らかに禁術レベルの巻物を何本も与えてきた時は、やっぱりこの人ダンゾウなんだと納得してしまったが。


「なっ!くっ、うわぁ!!!」

立っていることすらままならず、敵は壁際まで吹っ飛んだ。第二波、第三波の衝撃がかかり、壁にめり込んだ相手は「ぐは」と口から血を吐き出す。


え、これそんなに危険なの?
人間相手にしたこと無かったから、予想外の威力に術者である俺がびびる。


どうしようと慌てた俺は、思わず助けを求める様に上にいるダンゾウ先生に視線を向けるが、二ヒリとした笑みを携える先生マジ怖い。隣にいるヒカゲ君がそれ見て泣いた。フガク君も不気味そうに顔を顰めている。


「勝者・波風ユウ!」


そして俺は中忍になった。





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