主人公視点





予想外だ。何がって、暗部(根)に送り出したサスケが号泣して帰ってきたことが。

ダンゾウ先生と馬が合わなかったとか、先生に嫌味謂われたとか、他の根の子に暴言を吐かれたとか、先生から「やっぱりうちはか」とか謂われたとか……も、あったらしいけどそれで泣くわけがない。寧ろ鼻で哂っていたとか。さ、流石ですね。

俺の推薦じゃあ舐められるだろうなぁ、とは思っていたけどこれはまた。兎に角先生は大人げないと思う。俺だって、事情を聞くために飛ばした分身が先生に「うちはなんかにいつまでも住みつくな!こっちに帰って来い!」と怒られたし。

でも先生、膝にうちの息子乗せたままじゃそんなに怖くないよ。じじ孝行したいとかで現在先生宅にお泊り中のイツキが知らないうちにどんどん先生を攻略していることの方が怖いんだけど。


さて、それよりも現実。


「アイツ今度会ったら絶対ぶっ飛ばしてやる!!!」


オイオイ、オイオイと俺の胸に顔を埋めて悔し泣きするサスケ曰く、午前は普通に根の子達と顔合わせして上記のことがあったらしいがそこはおいといて、暗部(火影直属)とも午後から対面した。問題はそこでおきた。

話しの途中で出て来た銀髪の男についてはノーコメントでお願いしたい。新人だけど午前中に根の子を叩きのめしたサスケ(え、そんなに強かったの?)は火影側の暗部だって俺が締め上げてやるぜぇ!な心境だったらしい。

小さくともうちは、矜持は里一番。俺的にはよく分からんが、ユウさんの弟子なんだからこれくら当然と思っていたらしい。うん、ほんとよく分からん。

自信満々なサスケを呆気なく、失意のどん底に叩き落したのはサスケとよく似た背格好の少年。身に纏った黒い暗部服に反した光り輝く金の髪。……うん、誰のこと?


知ってるかって聞かれても首を傾げるしかない。俺火影様に嫌われてるからなぁ〜、カカシ君とはアレだし。ヤバい、聞ける人いな…「それは恐らく蒼風隊長だな」って、


「イタチ…?」

何時の間に帰ってきた。気配感じなかったぞ。流石イタチというべきか、やはり拒絶しまっくて愛想つかされたらいざというとき助けて貰えないかもしれない。よし、ほどほどに構っておこう。


「ただいま、ユウさん」

あ、うん。おかえり。
晴れやかな笑みが昔のミナトと重なった。あれ?イタチって王子様タイプだっけ?フガク君の遺伝子どこいったのってくらい爽やかなイケメン具合に吃驚しているとイタチの発言に叫ぶサスケ。あ、ちょっ、痛いから暴れないで!


「兄さんアイツの事知ってるの!?」

「まあ暗部なら知っていて当然だ」


やべ、俺知らね。

「ユウさんは滅多に里に帰ってこないし、蒼風隊長が凄いと云ってもほんの一年前に現れたからな。実力はあってもユウさんには遠く及ばないし、知らないのも無理はない」

罰が悪そうな顔をした俺にイタチはフォローしてくれた。なるほど、こういうところでイケメンと差ができるのか。


俺あんましモテないからなぁ。この間もイツキと里内を歩いているとき、あの子行き成りね、「闇討ち、暗殺、お手の物〜」とか歌いだしたから。隣にいる同じ髪色の男(ユウ)との血縁関係は明確、よって俺に刺さる冷たい視線。


ああ、やなこと思い出した。
正統派のイケメンがしな垂れかかってくるのが悪い。俺頭が変になりそう。



「そういえば、仮面をしていて口許くらいしか見た事ありませんが蒼風隊長はどことなく顔立ちがイツキ君に似てましたよ」


あ、とんでもない爆弾落としやがった。




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