主人公視点






人間最も出会いたくないタイミングで出会ってしまう人っているよね。


「カカシ…」


君、と続けるところで切ったのはそのカカシ君にめっちゃ睨まれているから。

そんな俺の様子に隣を歩いていたイタチは態々腕を絡めて身を寄せる。殺気が強まった。


「ねぇユウさん?早く行きませんか…カカシさん、すみませんが俺たちは大事な用があるのでこれで失礼します」


お、意外とまともだ。というか合格!って言ってもいい。それに便乗して俺も「悪いが急いでいるから」とイタチの肩を抱いて速足で進む。抱いた時、イタチが「ぴゃ!」っていった。何それ可愛いとか思ってしまうが、自分が汚い大人みたいで自己嫌悪する。


そしてすれ違う時にイタチが絡みついている腕とは反対の腕を掴まれた。


「待って!
俺も用があるんだけど…!」


語尾を強めてそう主張するカカシ君に「ちっ」と舌打ちするイタチ。おいもういい子ちゃんの仮面が取れてるぞ。普段の礼儀正しいイタチしか知らないはずのカカシ君はそれに目を瞠る。


「俺たちこれから愛を育みに行くんです」

「ぶっ!?」


つい噴き出す。まさか公道で、それも今は複雑とはいえ俺の弟子的なカカシ君に知られた。いや待て、まだ手は出していないといいかけ「これから出すんです」とも取れるなと口を閉じる。

ショックを受けたような(そりゃそうだ)カカシ君は俺を見て、イタチを見て、もう一度俺を見てからグッと目を瞑り、押し殺したような声で「お幸せに」とだけいって立ち去った。


俺が待て!誤解だ!と叫ぶが途中で瞬身で消えたカカシ君にはどこまで聞こえただろうか。出来ればちゃんと誤解だまで聞こえていてほしい。

俺の切実な願いとは裏腹にカカシは「待て!」の「ま」の字すら聞こえていなかった。




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