主人公視点





サスケを暗部に入れる、勿論イタチと同じ火影直属ではなく先生の“根”の方にだ。


「やだ!俺も兄さんと同じとこがいい!」

ぐりぐりと顔を俺の胸部に押し付ける。膝の上に乗られているので重い。


兄さん大好きっ子のサスケは何故か俺に懐いたが、これには反対のようで「やだやだ」繰り返している。そんなサスケをイツキが鼻で哂って「ガキっぽい」と一言。おい、余計なことを言うな。


「んだよ!お前表に出ろ!勝負だ」

「へー、相手になるのかな?」


逆に相手を煽る息子に頭を抱えた。外見ミナトなのにオビトを前にした昔のカカシみたいな態度に俺は育て方を間違えたか?と考え、「あ、間違えたわ」と反省せざるをえなかった。
だって育てた環境が環境だし。パパとママ(?)はこれだしね。そりゃ擦れるわ。


まあ何だかんだで大蛇丸さんの英才教育の賜物か年上の意地かでイツキが勝利した。また俺の膝によじ登って悔しそうに涙ぐむサスケ…写真撮ったら高く売れるかなぁ。

般若顔で睨む息子が怖いからやらないけど。でも一枚くらい…


「ただいま」

俺の邪な心を読んだようなタイミングで帰ってきたイタチに肩を揺らす。露出した肌が粟立ってるわ。


「…ッ!?ユウ、さん?」

「ぐぇ!」


潰れた蛙みたいな声が出た。イタチがサスケを押しのけて俺を抱きしめたからだ。成程、締め付けて苦しみながら殺す算段か。こんなときこそ忍術だと思い、印を辛うじて組むのに成功する。


「あ…、」


切なげな声と伸ばされた手に罪悪感を覚えるが知らん。俺はイツキを盾にフガク君の横に座った。流石に父親の前で引っ付く気はないのか、イタチもサスケも大人しい。


フガク君はイタチに俺の旅(という名のニートの食い倒れツアーor温泉旅行)に同行することを伝えた。ガッツポーズをするイタチにハンカチを歯でぎりぎりするサスケ…お前らキャラ崩壊してるぞ。


「婚前旅行ですね。俺が18歳になるまでお待たせしますが夜のお務めはいつでも大丈夫です。寧ろ今夜が初夜…キャ!いっちゃった!」


ああ、もうどうでもいい。
いつの間にか隣に来て俺にしな垂れるイタチに既視感…あ、砂のサソリと似てる。お前らなんでそんなに自然なのってくらい遊女みたいに慣れた態度で上目遣いで誘ってくる。

やめて、俺息子の前だから。
そもそも男を相手にする気ないから。

はっきり口にすればいいのに、戦場でも役に立った俺の勘が訴えるのは『しゃべるな、ぜったい』だ。余計なことを口にすれば何かが終わる気がしたのでそれに従っておく。

だから目で「違うよ〜」って訴えたんだけどブルブル痙攣したかと思えば満面の笑みで言われた。


「やっぱりもっとムードがあるところの方がいいですよね?
あ、ここなんてどうですか?」


どこから取り出したのか温泉旅館の特集に載った、品の良い高そうな宿。若くて将来有望な少年に手を出したと泊まっただけで訴えられかねん。俺おっさんだし。


「なら予約しておくわね!」


とてもいい笑顔を浮かべたミコトちゃんが暴れるサスケとイツキを抱えながらいった。その笑顔に「まさかうちの息子を振らないわよね?」と謂われた気がした。




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