主人公視点




用ってなーに?と呼び出した本人に、そう久しぶりにフガク君に会いにいく俺たち…出逢い頭に「よくもうちの息子を誑かしな!」と火遁の一発や二発覚悟して戦々恐々と団扇マークの門を潜ったら


「頼むユウ」


土下座したフガク君ならいました。



えええええええ???




取りあえず俺は急いでフガク君に顔を上げるようにいった。だってこんな光景誰かに見られたかと思うと…怖!

だが中々上がらない。一緒に来た息子からも「何やらかしたの?」的な眼差しを貰ってる俺としては一刻も早くやめてほしいのに。

内心アワアワとしていると、ポツリポツリとその訳を話しだした。
が、慌て過ぎた俺はその話しを半分もまともに聞いていなかった。これはヤバい。


「わかった、取りあえず…『いいのか!?』」


顔を上げてくれ、そしてもう一回最初から説明してくれと言いかけたところを遮られた。あ、なんか不味い予感。
だがまさか脅しだろうか?写輪眼で詰め寄られて「ホントにホントだな!」と疑問符すらないそれに今更本当のことをいえるだろうか、いや、いえない。


苦笑交じりに頷いておいた。だってフガクくんだし、いくらなんでも俺がどれだけ役立たずなのかも知ってる友だ。ダンゾウ班のメンバーだったんだ。どうせ精々奥さんに内緒で欲しいものがあるからバレナイように買ってきてほしい的な可愛いお願いだろう?


だが彼は俺の予想を見事に裏切ってくれた。


「俺の息子…イタチを連れて行ってくれ」


ホワイ?あ、間違えた。Why?

脳内で『どうして〜どうして〜』と映画ナルトのソングが流れる。イタチ君って今暗部だよね?しかも我らがダンゾウ先生じゃなくて火影直属の。確か上司はカカシ君って聞いたけどさ、どっちも今の俺とは相性が悪いというか関係が最悪といってもいい仲だよ?

里追い出された人間で弟に全て押し付けた屑が!ってカカシ君に罵倒されるかと思って監視役の暗部の目につかないように来るのも先生のとこから瞬身で来たほど俺は里中の人に怯えているんだけど。


今って確かうちは一族の立場が悪くてクーデター企んじゃってる頃だよね?
来る時オビト見たし。先生のとこで観察日記みたいなうちは一族の情報が置いてあったし。


「でもいいのか…イタチはうちはに必要だろ?」


跡取りだし、印象よくするというか火影側の情報入手するのとかで。

まぁ、クーデターの件は俺から先生にもっと待遇を改善しないとやばいよ!的なことをオブラートに包んで進言するつもりだけどさ。どっちにしろイタチの存在はこれからも絶対不可欠だ。


「ああ、だからこそだ。お前なら、」

「? ついてこられるのか分からんぞ」


途中で切れた言葉に首を傾げつつ俺には天才の相手何てできません!と伝える。これ大事!


だが項垂れつつ安堵したように破顔するフガク君。どうしたの?もしかしてショックで笑うしか出来ない感じ?うん、俺にもよくあるよそれ。

俺はすまない気持ちで一杯になった。だってさ、ただでさえ役立たずな奴なのに、こんな俺に頼らないといけないくらいフガク君も切羽詰まってるってことだろ?


どうにかしてやりたいと思いつつ、俺は空気を読んでか物静かなイツキの方を窺って目を見開く。


「サスケ…?」

フガク君が今気づいたとその名を口にする。柱に隠れてこちらの様子をジッと見つめるちっさいフガク君ではなく、本物のサスケだ。


確か原作のダンゾウ先生はイタチのことは評価していてもサスケのことは価値なし!って判断してたような…いや、イタチは限りなく少ない理解のある忍びでサスケは典型的なうちは(=悪に憑りつかれた一族by二代目)だと認識しているんだろう。

サスケもサスケで「お前のせいで兄さんが!」的な感じだったし。一族大好きっ子だしな。


フム、と俺は頭を働かせる。考えろ、思考を止めるな、何もできない俺に残されているのはそれだけだ。

一瞬おいて、俺は恐る恐る提案した。


「サスケを暗部に入れたらどうだ」と――…。



***

映画ソング=スキマスイッチ『星のうつわ』




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