主人公視点




オビトは何も言わず立ち去った。
だけど振り返ったその横顔に「またな」と伝えれば若干嬉しそうに微笑んだ気がする。

もしかしたらいい方向に変わったかもしれない。ホッと息をつく俺は現実逃避を図っているが上手くいかないようだ。



「父さんから離れてよ!」

「いやだ」


うちはイタチを手に入れた。しかし、


「認めたくないし吐き気がするほど忌ま忌ましいけど父さんには一応、一応!母さんがいるんだからね!」

「ユウさんは魅力的な人だ。そういった人は一人では満足できない、俺がユウを癒したいと思う。
ユウさん、イツキ君が許してくれなくてもいい。俺を愛人にしてください。後悔はさせません」


愛人としてかよ!
最強の護衛とかお助けキャラでもなく、愛人。
しかもイタチ君は今十歳くらいで俺は四十、ついでに言えば彼の父親と同期で親友。犯罪だ、捕まる、うちは一族に。

ミコトさんから見れば俺はいい歳こいて夫に頼る寄生虫で息子を誑かしたろくでなしのショタコン野郎。くノ一としては珍しく上忍にまで登りつめた彼女の得意とした踵落としが俺にされるのは時間の問題だろう。


オビトを説得しようと碌に考えもせず彼是言った俺に何故か感動したらしいイタチ君。

ポッと紅潮した頬とトロンと蕩けさせた瞳にはサソリ君や大蛇丸さんからよく向けられる恋情と酷似したものが感じ取れた。嘘だろう、おい。


大蛇丸さん作の忍具の威力は予想以上でそれを俺の実力とも勘違いした彼は俺に弟子入りまでしてきた。イツキがいるからと息子を理由に断れば不思議なことに「愛人としておいてください」とかもう意味わかんない。


流石うちは、行動力と愛の重さは共通らしい。


俺は里(フガク君に怒られそうだし)にも家(大蛇丸さんが暴れそうだし)にも帰りたくなくなった。





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