主人公視点
現在里帰りの帰路に着いている。
御供はイツキ、当然俺が連れてきたわけじゃない。勝手についてきたのだ。
「これでやっと二人っきりだね!」
ニッコリと微笑むイツキに背筋が震える。何故だろう、ミナトとカカシ君とサソリ君を足して割ったような裏がありそうな笑顔だと思ってしまう。
イツキは俺と違って優秀だ。よく大蛇丸さんが「流石私たちの子!」って狂喜乱舞するけど(その度にイツキは不機嫌になる)俺というか俺の弟の才能を受け継いでいるのだろう。つまり俺は媒介でしかない。あ、虚しい。
ところでなんで帰郷するかっていうと、それはフガク君から『ちょっと帰ってこい』と連絡が来たからだ。フガク君、めっずらしーと思いつつ俺はやるべきことのためにその呼び出しに応じた。
そう、やるべきこと…俺の平和を守るため、この理不尽で暴力的でナルトが英雄となるまでは化け物大戦争が巻き起こる恐ろしい世界で生き残るためにすべき手段!
強者に媚を売れ!あわよくば北斗のユリアポジションを手に入れろ!
もう四十代の男がなにユリアとか言ってるって?ふ、解ってるよそんなこと。夢を見るくらいいいだろう?
俺的には目つきが悪い怖いおっさん顔にしか見えないが、周囲の反応を見ると不思議なことにカッコイイお兄さんらしい。身近にイケメンしかいなかったから自覚できなかったが俺もそこそこイケメンだったようだ。里を出たら意外とモテた。一寸嬉しい。でも喜びも大蛇丸さんに養われるようになってから消え去ったが。
NARUTO界の強者といえば誰だろうと考えた。
ダンゾウ先生、大蛇丸さん……は、強いけどマダラ戦には向かない。
逆にオビト側に付く?いや、俺みたいな弱虫は「いらね」とか言って捨てられるだろう。
ならやっぱり木の葉だよな。ガイ君…は、実は接点ない。くそ、唯一マダラに体術で対抗できる素晴らしい人材なのに!暑苦しいけど。
カカシ君はカカシ君で昔は可愛かったけど今は俺の事軽蔑してそうだし期待できない。
ナルトは将来的にそうだけど、今はまだ未熟だ。だけど折角帰郷するから幼いナルトに良い伯父さん的な印象を与えておこうと思う。
三代目とか他の上層部は俺の事嫌ってるしまず帰郷することすら嫌がりそうだ。
なら…うん、よし、やっぱりそうだね。
君に決めた!
「うちはイタチ君」
心の中で彼の名を呼んだつもりが口に出ていた。イツキが聞けばまた機嫌を損ねそうだし、水汲みに行ってくれててよかった〜。
ホッと一息ついた俺だったが、
「貴方は……」
つい先ほど心中で想像した少年がそこにいた。
そしてその隣に誰かいた。少年より大きく青年と呼べる年頃のその人物は
あれ、なんでここにいるの?
「オビト…?」